まずは「疲れずに読めるレベル」の本から始める

『東大発!1万人の子どもが変わったハマるおうち読書』の著者・笹沼颯太さん

── では、本を読まない子どもに「読書好き」になってもらうためには何ができますか?

 

笹沼さん:きっかけづくりです。「本を読まない」子どもは生まれついての本嫌いなのではなく、まだ読書家になるための種に出会えていないだけ。僕が立ち上げたオンライン習い事「ヨンデミー」では、本を読む楽しさを子どもに伝えるために次のような提案をしています。

その子に合った「レベル」と「好み」を見極める

絵本や児童書には「1年生向け」など、目安の年齢が書かれていますが、読書が苦手な子には内容が難しすぎる傾向にあります。本を読み慣れていない子の場合は、目安の年齢は無視して、挿絵がある、漢字が少ない、一文が短めなどの条件に当てはまる本、つまり「疲れずに読めるレベル」の本を選ぶといいでしょう。

 

「好み」も重要です。日常のお話、歴史もの、ファンタジーのどれに心惹かれるのかは、子どもによって違います。お子さんをよく観察して、その子の好みを意識した本を選びましょう。

つまみ食い読書にトライする

「好み」と「レベル」を見極める簡単な方法として、子どもと一緒に図書館を訪れて「つまみ食い読書」をするのもおすすめ。図書館ではできるだけジャンルがバラけるように、子どもに本を5~6冊選んでもらいましょう。このとき、親は口出しをしないこと。

 

選んだ本を並べたら、冒頭から5分だけ「つまみ読み」をします。5分読んだら次の本へ、その次も5分読んだら次へ、と繰り返していくなかで、「続きを読んでみたい」と子どもが感じた本だけ最後まで読めばOK。全部をムリに読む必要はありません。「1日10分は読書タイム」と家族でルールを決め、10分だけ各々が好きな本を読むのもおすすめです。

 

ほかにも読書の扉を開くための方法はたくさんありますが、いずれも読書のハードルを下げ、その子にとって楽しく読める本を見つけ出すことが目的です。本を読まない子どもは「動画やゲームが好きで本が嫌い」なのではなく、「まだ本を読む楽しさに出合えてない」だけ。手が届く位置に面白そうな本があれば、いずれは強制されなくても自然と手を伸ばすようになるでしょう。それをサポートするのが周囲の大人の役目です。