98年に中山秀征さんと結婚した白城あやかさん。当時は男性は子育てより仕事の時代。4人兄弟の子育てと家事にひとり追われていくなか、「なんで私ばかり」と思うことが増えていき── 。(全3回中の2回)

子どもが生まれて私だけ世界が変わった

結婚記念日にて

── 98年に結婚、99年に第一子の長男さんを出産されましたが、旦那さんのお仕事もかなり多忙を極めていたそうですね。

 

白城さん:結婚して10年くらいはレギュラーを7本抱えているなど、ずっと忙しくて。家にほとんどいなかったですね。時代的に休みが取りづらい雰囲気があったかもしれませんが、彼自身も仕事が大好きなんです。一度休みについて聞いたときに、「え?休みって何?お休み取らなきゃいけないの?」と言った反応が返ってきたことはありました。

 

あと、スケジュールが1週間前にならないと出なかったので、予定がなかなか組めなかったですね。子どもの受験の面接とか、あらかじめわかっているものだけお休みはもらいましたが、それさえも彼にとってはすごく大変なことだったみたいです。

 

── しばらくは長男さんと2人で過ごす時間が大半だったそうですが、家事と子育てに没頭するなかで気持ちが塞いでしまうことはありましたか?

 

白城さん:私だけ世界から取り残されているような気持ちになりました。赤ちゃんはいるけど一日誰とも会話をせずに終わるんです。子どもができても主人の生活は何も変わらないけど、私だけ180度変わってる。インターネットは今ほど盛んじゃなかったので、他から情報が入ってくることもなくて、今振り返ると精神的におかしかったなって思う時期はありましたね。

 

── 旦那さんは多忙ながら、子育ての理解はありましたか?

 

白城さん:当時の主人はまったくそうしたことへの理解がなかったです…!時間に追われて今日も買い物に行けなかった、家事も何もできなかったなっていう日もあったんですが、あるとき「今日の夕飯はデリバリーを頼んでいい?」と聞いたら、「え?夕飯でデリバリー…?」と驚かれたんです。そのとき思いました。この人はまったく何も見えてないんだなって。外で頑張って働いてくれているけど、家のことは何もわかってないんだなと思いながら、「なんで私ばっかり?」って思うことは、増えていきました。

 

── 旦那さんにそうした思いを伝えることはありましたか?

 

白城さん:もともと自分のなかで溜めてしまうので私のよくないところなんですよね…。ただ今、子どもが4人いますが、2人目が生まれてからかな。長男と次男は5年離れていますが、何かの拍子で不満をぶつけたときに「そんなの言ってくれなきゃわからないよ」「人の気持ちを察するってことはないの?」といったやりとりはありました。

 

あと、長男が生まれたとき。私たち夫婦は同じ歳で30、31歳くらいでしたが、彼の周りではまだ子持ちの人が少なかったのかな。その後、次男が産まれたあたりから周りでも少しずつ親になる人が増えてくると「え?子育てってそんな協力しなきゃいけないの?家のことってそんなにやってるの?」と周りから聞くようになったらしく、そこで少しハッとしたことはあったみたいです。

 

── 家事全般も白城さんが担当していたそうですが、旦那さんがみずから作ることはありましたか?

 

白城さん:ずるいなって思ったのは、彼、家事が何もできないんですよ。主人は10代で群馬から上京してきましたが、常に仲間と一緒に暮らしていて、その人たちが家事を全部やってくれたらしいんですね。お米をといだこともなかったし、結婚した当初は数年前までりんごの皮むきをしたこともなかったと聞いたので、頼んでも難しいだろうと私も諦めていたんです。私が体調を崩したときは子どもたちを連れて外にご飯を食べに行っていましたが、だからといって私のご飯を気にしてくれるとか、どこかでお弁当を買ってくることもなかったですし…。

 

あと、子どもたちが4人全員野球を始めたんですけど、私が子どもの野球の合宿について行かないといけないときなどもありました。どうしようもない場合は主人がどうにか夕飯作りにチャレンジしてくれることはありましたが、後から得体の知れないものだったと子どもたちから聞いて(笑)、彼がみずから台所に立つことはなかったです。