元カリスマホストとして鳴物入りで芸能界へ転身した城咲仁さん(46)。超人気テレビ番組へのオファーは鳴りやみませんでした。しかし、2、3年すると開店休業状態へ。どん底を救う人との出会いがありました。(全4回中の2回)

ホストを辞める報告をしたら芸能界入りを勧められ

城咲仁

── ホストを辞めてから、タレントに転身したのはどんなきっかけでしょうか?

 

城咲さん:ホストを辞めたら、高田馬場あたりで学生がお腹いっぱい食べられる、安くておいしい定食屋を始めようと思っていたんです。中華料理屋を営んでいた親父の影響があったし、ギャップがおもしろいじゃないですか。ちょっと前までキラキラしていたホストが、厨房で汗かいて鍋を振っているのって。

 

ところがホストを辞める直前に、当時働いていた「クラブ愛」に、芸能事務所・サンミュージックの社長が来店されました。そのときに「ホストを辞めることにしました」と報告したら、「城咲くん、こんなに有名なのになんで辞めちゃうの?本格的に芸能界に入ったら?」とスカウトされたんです。

 

それを聞いて「すごくおもしろそうだな」と思いました。現役ホストのときから、テレビには何度も出演させてもらっていました。でも、芸能事務所の社長から直々に声をかけていただけるのは、本当にありがたいことだったので、挑戦してみることにしたんです。

気づけば「家賃5万8000円」の生活へ

── 実際に芸能界で活動してみていかがでしたか?

 

城咲さん:当時は『踊る!さんま御殿!!』や『ダウンタウンDX』『徹子の部屋』など、人気のバラエティやトーク番組ほぼすべてに出演させていただきました。でも、ホスト時代の話をひと通りして2〜3年経つと、視聴者の方もテレビ局の方も、別の話を期待するようになる。残念ながら「タレント・城咲仁」は、ホスト時代以外の話をしても、トークスキルが他の芸人さんにはかなわなかったんです。

 

── やっぱりホストとして接客をするのと、テレビで話をするのは違うのでしょうか?

 

城咲さん:違いますね。テレビでは、15秒、30秒とコンパクトな時間のなかで起承転結に沿ったトークが求められます。僕はそれがあんまり得意ではありませんでした。ホストとしてお客様を接客するのとは別のスキルが必要だったんです。だんだん仕事が減り、お金がなくなりました。ホスト時代は家賃30万円の家に住んでいたのですが、当時は家賃5万8000円のところに引っ越しました。

 

城咲仁

── ホストに戻ろうとは思わなかったのですか?

 

城咲さん:さすがにダサいじゃないですか、「芸能界でうまくいかなかったから、ホストに戻ります」っていうのは。でもタレントで食えなくなったとき、見かねた親父が「バイトでもいいから少しホストクラブで働いてきたら?」って言ってきたんです。めちゃくちゃショックでしたね。

 

うちの親父は昔気質な人で、水商売は絶対ダメという考えでした。僕がホストになるのも猛反対だったんですよ。その親父がそんなことを言うところまで来たか…と、がくぜんとしました。