子どもの頃から人が喜ばせるのが好き
── 子どもの頃、習い事などはしていたのですか?
りんごちゃん:習字、そろばん、スイミング、学習塾など、いろいろ通っていました。でもそれが続かない、続かない(笑)。何年も続いたものはなかった気がします。それでも、親は私がやりたいと言ったことはなんでも挑戦させてくれましたね。
そんな子ども時代から、ギャップ芸みたいなのは得意で。ものまねが好きだったし、“ギャップものまね”みたいなこともよくやっていました。
── “ギャップものまね”は子どもの頃から得意だったのですね!
りんごちゃん:そうですね。小さな頃から、人が笑ったり喜んでくれたりすることを考えるのが好きでした。サプライズで人を笑顔にさせたくて、それがものまねにつながったんです。親や姉が喜んでくれるのがすごくうれしくて。歌ったり、ものまねをしたりして、「こうするとみんなが喜んでくれる」って思えるのが幸せでした。
── 家族に喜んでもらいたいという気持ちから、ギャップ芸が生まれたのですね。
りんごちゃん:今思うと、子どもの頃から私ってずっと変わらなくて。歌もものまねもそうだけど、結局ギャップ芸で生きているなぁと思います。かわいいお化粧やお洋服が好きだけど、ときどき“ワイルドなものまね”が出てくるりんごちゃん、という感じで。大友康平さんのものまねみたいに(笑)。幼少期の頃からかわいいスカートをはくのが好きだったし、そのいっぽうでウワッ(ワイルドな声)って驚かせることも好きでした。
芸能界を目指して上京。さっぱりと見送った両親も実は涙
── 高校卒業後には芸能界を目指して上京されています。
りんごちゃん:小さい頃からテレビが大好きで。実家は中華料理店で、両親ともにお店でずっと働いていたから、私は自分ひとり遊びをすることが多かったんですね。特に、親が好きなものまね番組や映画を、VHS(ビデオテープ)に録画したのを観るのが好きでした。そんなふうに録画したテレビ番組を観ているうちに、テレビの中の人への憧れが生まれたんだと思います。
そのうち、「キラキラした東京へ行けば、いつか“テレビの中の人”になれるかもしれない」と思うようになって、高校卒業後、カバンひとつで青森から上京しました。頼れる人もいなかったから、今は「若いエネルギーってすごいな」と思いますね。怖いもの知らずというか…。
── 親御さんからの反対はなかったのですか?
りんごちゃん:まったく反対されませんでした。もう隣町とか、近所のスーパーに買い物に行く人を見送るかのように、「いってらっしゃい!」って(笑)。
でも、あとでわかったんですけど、ホームで新幹線に乗った私を見送った後、親は涙を流していたようで。私も新幹線が出発したあと寂しくなって、ひとり泣いていたんです。結局それぞれ涙していた、という。
── 陰で涙しながらも笑顔で応援してくれて、とても優しい親御さんですね。
りんごちゃん:ごく普通の親だとは思うんです。父親は昭和の男という感じで、姉と私がけんかをするとカミナリがどかん!と落ちる。でもそのぶん、母親はいつも穏やかで。イヤな空気をいっさい出さない人でした。お店が忙しくて、ふたりともずーっと働きっぱなしだったけど、休みの日には旅行したり、家族で過ごす時間をたっぷりつくってくれていました。
思えば、上京したばかりの頃は、親と1日1回以上は電話をしていましたね。今も時間があるときには電話をして、長いときには6時間くらい話します。けんかもするし、親友みたいに仲良しです。
PROFILE りんごちゃん
青森県生まれ。2019年にテレビ番組『ウチのガヤがすみません!』の出演をきっかけにブレイク。“ギャップ芸”という新しいものまねで、子どもからお年寄りまで幅広い層から愛されている。青森県十和田・奥入瀬観光大使としても活動中。
取材・文/高梨真紀 写真提供/りんごちゃん