妹のライフステージの変化がターニングポイントに
── 会社員、チアリーダー、ミス・ジャパンとしての活動と、変化を重ねてきました。今のお気持ちを聞かせてください。
土屋さん:会社員のときは、富士通を退社してからもチアのチームに残ったり、企業チームにいながらミス・ジャパンに挑戦したりと、前例がないことにチャレンジさせていただきました。前例がないものを成り立たせるのはとても大変で、たくさんの方が動いてくれました。仕事に限らず、何かを変えることは、人によってもタイミングによっても大変だと感じるかもしれませんし、逆に変えていくことを楽しいと感じるかもしれません。つまり、変えてみないとわからないからこそ、不安も大きいと思います。
でも、我慢し続けることと努力し続けることはほんの少し違うと思っていて、心にどこか違和感を抱えていて、その違和感が消えないようなら、自分の心に素直になって変化を望んでもいいかもしれない。なぜなら、時が経つことで違和感が自然に消えてくれることは、稀なんじゃないかなと思うからです。変えなければ何も変わらないけれど、変化させれば進化につながるかもしれない。その先の道が順調ではなかったり、こういうつもりじゃなかったと思ったりしても「あのときこうしていればどうだったかな?」という後悔だけはしないのかなと。もちろん、しなければよかったと思う種類の後悔もあるかもしれませんが、真剣に選んだ道であれば、ベストを尽くしたという納得は得られると思うので、今後も自分が納得する道を歩みたいなと思っています。
── ライフステージの変化に関して、ご自身が描く将来像はありますか?
土屋さん:妹がいろいろな変化に前向きに挑戦していく姿は、私の人生のターニングポイントにもなったと思います。ライフステージの変化に伴うキャリアチェンジは、女性のみならず、男性にとっても前向きにイメージしにくい方もいるかもしれないのですが、人を育てるという時間はすべての概念を覆してくれて、私自身にとっても新しい展望や前向きな気持ちにつながりました。
以前の私は、結婚や出産に対してどうしても少しネガティブなイメージを持っていて。まだ仕事をしていたいとか、まだ自分のことをがんばりたいと考えているときにライフステージを変化させると、何かを犠牲にするのではないかというイメージがあったんです。でも、人を育てるというステージに行くことは犠牲ではないんだな、こんなにも新しい気づきや価値観をもたらしてくれるんだなということを最近は強く感じていて。そうなってみないと分からないことがたくさんあるので、何事も前向きに捉えて、決めつけてはいけないなと思っています。
── 最後に今後の目標を聞かせてください。
土屋さん:ご縁をいただくお仕事があれば、精いっぱい頑張ろうと思います。ただ、今はまずは身近な人のために生きようと思っていて、求められる場所で全力を出していった先で何かにつながればいいなと考えています。
PROFILE 土屋炎伽さん
1992年8月26日生まれ、東京都出身。明治大学応援団バトン・チアリーディング部を経て、富士通入社後は「フロンティアレッツ」のチアリーダーとして活躍した。「2019ミス・ジャパン」にて初代グランプリを受賞。現在はXリーグ「ブルーサンダース」のチアリーダーをはじめ、幅広く活動している。
取材・文/長田莉沙 写真提供/土屋炎伽