独立後の変化「メイクさんに依頼できるように」

── 独立してからは、子育てをしながらご自身で仕事の調整などもしているそうですね。

 

キンタロー。さん:仕事の合間や家事などが終わってから家でメールのチェックや今後のスケジュール調整などをしているので、それが結構、深夜になってしまうことも多いです。

 

でも、独立して自分で仕事の依頼ができるようになって、嬉しいこともありました。昔、ライブで保育園の頃の友達と再会した時に、その子がメイクさんをしていることを知って。「いつかお願いするね!」と話したものの、芸人ってあんまりメイクさんに依頼をしないんです。私のものまねのメイクもほぼ自前で。独立して、自分が依頼できる立場になったので、雑誌の取材依頼などでメイクを発注できるときはお願いするようになりました。

 

── ものまねのメイクはご自身でされているんですね!

 

キンタロー。さん:基本的に自分でしています。私、本当に面倒くさがりやで。とにかくズボラでラクをしたいので、「次はこの方のモノマネをするから、メイクの研究をしよう」というタイプじゃないんです。「さぁ、やるぞ」となったときに勢いでメイクをして、そのままネタの初出しをするので、本当に行き当たりばったりという感じです。

 

以前、スタッフさんから言われて、その場でなんとなくやれる気がして「いいですよ」と引き受けたものまねがあったのですが、事前に本人の姿を見ることもなく、ほとんど時間もないなかでメイクをしたら、結果すごく似てウケたんです。逆に時間をとって作った顔のときの方が似てないこともあるので、私はピンチで切羽詰まっているくらいの方が、実力が出るんだと思います(笑)。

 

── 芸人になる前に社交ダンスを本格的にされていたのも、メイクに活きていそうですね。

 

キンタロー。さん:そうですね。社交ダンスもメイクは自前なので、慣れてはいます。社交ダンスもものまねのメイクも奇抜なので、自分のメイク技術には偏りがあるかもしれません。最近は、ものまねのメイクをしすぎて、ナチュラルメイクをどうしたらいいかわからないんです。たまに「ナチュラルでお願いします」という発注も来るのですが、自然な感じのメイクができないので、そういうときに友達のメイクさんにお願いするようにしています。

 

── 時間がないなかで実力が発揮されるとのことですが、元日の朝に、大晦日の紅白歌合戦のときの「あのちゃん」のマネをしていたのが衝撃でした。

 

キンタロー。さん:紅白を見ながら、あのちゃんのマネをしようと決めて翌朝にネタをしたのですが、以前からあのちゃんのモノマネはしていました。ただあの日は、AYU様(浜崎あゆみさん)のカウントダウンコンサートにも出させてもらっていたので、バタバタしていました。頭につけた王冠はダンボールでできています。テレビ局の衣装さんが一緒に作ってくれたのですが、本番の直前まで衣装を縫ってくれて、そこから生放送でネタをしました。評判もよかったので、私にはまさにギリギリが合っているようです。

 

キンタロー。さん
直前まで衣装作り!紅白歌合戦のあのちゃんのものまねを翌朝に披露したキンタロー。さん

── 独立後の、これからの目標について教えてください。

 

キンタロー。さん:「チームキンタロー。」を作りたいなと思っています。ショーやネタの際に、音響やライトなども使うのですが、例えば「パフォーマンス中の、このタイミングでお願いします」というように、音出しのタイミングなども毎回、スタッフの方に説明する必要があります。初めて一緒に仕事をする方もいらっしゃったので、タイミングがずれることもあって。ベストパフォーマンスを毎回、お客さんに届けるためには、チームとして同じ仲間と毎回、仕事をできたらいいなと思うんです。

 

直前に「今回はAパターンで」となってもすぐにわかってくれたら、こちらも安心してお任せできますよね。照明にもこだわって、見てくださる方が今までの10倍も100倍も楽しめるようなチームキンタロー。を作っていきたいという野望はあります。

 

── 先ほどお話に出た浜崎あゆみさんも、それこそチームでライブのパフォーマンスをされていますよね。

 

キンタロー。さん:AYU様は憧れの方で、めちゃくちゃかっこよかったです。まるで家族のようなチームで憧れましたし、間近で見られてすごく感動しました。すべてのパターンをチーム全員で把握しているので、AYU様もパフォーマンスに集中できるのが素敵だなと思いました。

 

私は、ダンサーのひとりに絡みに行ったのですが、あとからAYU様が「よくこの子をいじってくれましたね!」と喜んでくれて。「ずっと一緒にしている子なんで、みんな喜びます」と声をかけてくれたのですが、AYU様がチーム全員の親のような感じで、仲のよさが伝わってきました。

 

私も、ひとりではできなかったパフォーマンスをするために、同じ意識の仲間を集めていくのが目標です。テレビなどの出演も続けていきながら、ファンの方にも会いに行って、みなさんに近い距離で喜んでいただけるような活動もしていきたいと思っています。

 

PROFILE キンタロー。さん

1981年愛知県生まれ。社交ダンスの講師などを経て、30才のときにお笑い芸人の道へ。前田敦子さんのモノマネでヒットし、その後ものまねのレパートリーを増やしながら活動の幅を広げる。プライベートでは2児の母。2024年3月末に12年在籍した松竹芸能を卒業し、独立。

 

取材・文/内橋明日香 写真提供/キンタロー。