塾に行く余裕は無かったが

アンミカ

── しかし学校と新聞配達、そして陸上部にも入っていたとのことで、気持ちの余裕がなくなることはなかったですか?

 

アン ミカさん:うちの家族は私も含めて効率的に物事を考えるんですよ。たとえば朝早く起きて新聞配達したらお金が自由に使える。学校に行くまでの時間は予習に使える。塾に行く余裕はなかったけれど、朝に予習してテストの点数もよくなる。先生に質問されて答えられる。それでも時間があったので、朝食は姉が用意してくれていたけど手伝うようになった。元々姉とは仲が良かったけれど、さらに仲良くなってみんなに感謝されるようになった。中学の陸上部はスパイクのピンとかニッチで高かったけれど買えた。そしたらさらにタイムが速くなった! 

 

こうやって自分に起こる出来事を信頼していくと、効率よく生きる術を身につけるようになったんです。ここで悲しいとかつらいとかなげくより、そうだよねって。今起こっている出来事ってこう考えた方が建設的だよねって私も家族もなってるんです。

 

── 考え方ひとつで変わってくると。勉強はお兄さんに教わっていたそうですね。

 

アン ミカさん:当時、私の周りではみんな塾に行っていましたが、うちはお金がなかったので兄から教わっていました。兄と姉は長男長女ということで塾に行っていて、その下の次女である私からは兄に教わりなさいとなって。兄も人に勉強を教えることで自分も勉強できるといった感じだったし、兄から受験のときはどういう参考書がいいか、どんな本を図書館で借りて、どういった勉強法がいいかっていうことも全部教えてもらいました。

 

兄が社会と国語が好きだったので、そこばっかり力を入れた感じはありますけど(笑)。兄にも助けられたおかげで、進学校に独学で入学できました。ノートを買うお金ももったいないので、単語などはチラシの裏に書いて覚えました。大人になった今もその名残で台本の裏に書いて覚えるクセが残っていますね。