自転車でのヘルメット着用が努力義務化されて1年が経ちますが、その普及率は13.5%といまだ低いままです。ヘルメット着用を促すべく、見た目に工夫を加え売り上げを伸ばしている企業に取材しました。
ヘルメット未着用の致死率は
警察庁が去年7月に行った調査では、自転車を利用する際のヘルメット着用率の全国平均は13.5%。まだまだ普及が進んでいないことがわかります。いっぽうで、平成30年から令和4年までに起きた自転車による事故で亡くなった人のうち、およそ6割が頭部にケガをしているといいます。また、自転車に乗る際にヘルメットをつけていない状態で事故に遭った方の致死率は、着用していた方の2倍以上に上がるということです。
道路交通法の改定で、去年7月から16歳以上であれば運転免許不要で一定の基準を満たした電動キックボードに乗れるようになりました。しかし、利用者が増えるとともに事故の報告も相次いでいます。電動キックボードに乗る際も、自転車と同様にヘルメットの着用はあくまで努力義務とされていて罰則等はありません。
ヘルメットを着用せずに事故に遭った場合の危険性とは一体どれほどのものなのでしょうか。一般社団法人「日本自動車連盟」(以下、JAF)が行った、電動キックボードを時速20キロで牽引した実験では、縁石に乗り上げて転倒した場合、ダミー人形の頭部が地面に打ちつけられていることがわかります。
ヘルメットをつけていない場合は、ヘルメットを着用していた場合に比べて衝突による脳や頭蓋骨への損傷の程度は6倍以上となり、重篤なケガや死亡のリスクが高くなっています。
また、自転車同士が出会い頭で衝突したと想定した実験では、ヘルメットをつけていない場合の衝撃が脳に及ぼす影響度はおよそ17倍に上がっています。JAFでは、速度が低めの自転車の事故であっても、頭部が地面に叩きつけられる際の衝撃は大きく、特に骨の発達が未熟な子どもは骨折のリスクが高くなるといいます。JAFでは、ヘルメットは最も重要な頭部を守るための唯一の安全装置だとして、着用を呼びかけています。