「いつか使えるの“いつか”は来ない」「使えるけれど使わないモノは捨てていい」──さまざまな思い込みを手放して、一つひとつモノに向かい合い、一つひとつのモノとの関係を問い直しながら、自分を取り戻していく「断捨離」。提唱者・やましたひでこさんの元で学んだ方々の自宅の驚くべき変遷をまとめた『小さな断捨離が呼ぶ幸せな暮らし方』が今、話題となっています。この本の監修もつとめたやましたさんに、断捨離を始めるに当たって意識すべき「3つのステップ」についてうかがいました。
1. 現状認識する(見る)「ポイントは“俯瞰すること”」
断捨離のスタートは、その場所・空間をよく見ることから始まります。やましたさんが断捨離実践でお宅を訪問する際に「少し散らかっていますが…」と案内されたリビングが、“ザ・物置き部屋”だったというのはよくあるケース。モノが溜まるほど、思考も淀んでしまうのです。現状認識が甘いと、次のステップの現状分析も行動も誤ってしまいます。
現状認識するには、「俯瞰する=鳥の目で見る」ことがポイント。俯瞰するためには、収納の中にあるモノを引っぱり出し、テーブルなど水平面に広げてみましょう。いかに多くのモノを持っているか、いかに使っていないモノを抱え込んでいるかが見えてきます。あわせて、あなたの溜め込み体質をチェックしてみましょう!
2. 現状分析する(見極める)「3つのふるいにかけて」
断捨離のステップ、「よく見る」の次は「見極める」。片づけ下手な人の常套句が「どこから手をつけていいかわからない」というものですが、まず、どこから着手するべきかを自分で見極めましょう。
片づけやすい場所はどこか?テコ入れしたい場所はどこか?断捨離とは、「今」「ここ」「私」に立ち返ることなのです。「自分で“診断”と“治癒”の両方ができるのも断捨離の醍醐味」とやましたさんは話します。
着手する場所を決めたうえで、「捨てる・捨てない」の見極めには、3つのふるいがあります。
1つめは「どこからどう見てもゴミ」を手放すこと。2つめは、自分軸と時間軸を見る、つまり「今の自分にとって必要?」と問いかけること。そして3つめは、より感性に働きかける見極めをすること。「ふさわしい?」「心地いい?」「みっともない?」と問いかけていきましょう。
3. 行動する(見切る)「ともあれ、捨てれば変わる」
最初は“小さな断捨離”からスタートしましょう。まずは1つ、まずは1か所から捨ててみるのです。賞味期限切れの食品、かかとがすり切れた靴下、欠けて使っていない食器…こうした悩む必要のない、明らかな「不要なモノ」から捨ててみましょう。1つ捨てたことで、「1つできた」。加点法で自分をほめ、さらにもう1つ、捨てていきましょう。
配置替えをしてみる
来客のたびにダイニングテーブル&チェアの配置を変えるなど、空間のお絵描きを愉しむように配置替えすると、いつもの景色が変わり、新陳代謝が生まれます。やましたさんのお宅は「家具もモノも移動することが前提」だそう。
捨てる→配置替えを繰り返す
断捨離は一度やって終わり、ではありません。生活していたら散らかるのはあたりまえ、リバウンドも必然。毎日お風呂に入るように、部屋も毎日手を入れ、手をかけていきましょう。必要だったモノも時間の経過と共にその価値は変わっていくのですから。
たった1つから始めた断捨離が人生を切り開く第一歩になることもあります。いきなり大量のモノ、大きな空間に手をつけずとも大丈夫。断捨離は、「目の前の1つ」の積み重ねなのです。
PROFILE やましたひでこさん
一般財団法人 断捨離(R)代表。学生時代に出逢ったヨガの行法哲学「断行・捨行・離行」に着想を得た「断捨離」を日常の「片づけ」に落とし込み、だれもが実践可能な自己探訪メソッドを構築。断捨離は、思考の新陳代謝を促す発想の転換法でもある。処女作『断捨離』に続く『俯敵力』『自在力』(いずれもマガジンハウス)の三部作をはじめ、著作・監修を含めた関連書籍は国内外累計700万部を超えるミリオンセラー作家。近著に『モノが減ると「運」が増える 1日5分からの断捨離』『1日5分からの断捨離 モノが減ると、時間が増える』(ともに大和書房)もロングセラーに。台湾・中国でもベストセラーを記録中。『小さな断捨離が呼ぶ幸せな暮らし方』(主婦と生活社)の監修もつとめる。