練り物製造の食品メーカーの株式会社紀文食品が、先日Xで発信したおでんの具材を入れるタイムテーブル。投稿には6.4万いいねがつき、「便利!」「参考になる!」と話題になっています。秋冬の食卓を豊かにしてくれそうな“家おでん”のライフハックについて、中の人に詳しく聞きました。

「練りものは後半に入れる」がコツ

自宅でおでんを作っていると、「大根や卵に味が染みていなかった」「どの順番で入れたらいいのかわからない」という悩む人もいるかもしれません。そこで参考にしたいのが、紀文食品が発信したタイムテーブル。

 

Xで6.4万いいねが付いたタイムテーブル「本格おでんの作り方」
Xで6.4万いいねが付いたタイムテーブル「本格おでんの作り方」

このタイムテーブルは、1960年に紀文食品が考案したもので、赤いパッケージでおなじみの商品「おでん汁の素顆粒」の裏側にも記載されているそう。

 

「練り製品をよりおいしく味わうために、おでんの作り方をわかりやすく伝えたいという想いから制作されたようです。内容は当時からほとんど変更されていないですが、コンビニおでんの発展で具材の多様化が進み、牛すじなどの具材は追加されました」

 

面倒だからと、すべての具材をつい一度に入れてしまいたくなりますが、おでんを煮込む約45分の間には、美味しく作るための具材の「順番」があるそうです。

 

最初にタイムテーブルの黄色部分にある大根、卵、牛すじ、こんにゃく、しらたき、ちくわぶ、結び昆布を、同時に入れます。

 

「まずは味が染み込みにくい大根や卵を最初に入れ、その後に練り製品をたしていくのがおすすめです。練り製品は長時間煮ると、汁を含みすぎて膨れるなど、本来のおいしい食感を失ってしまうことも。また練り製品を早く入れると、そこから出る出汁で全体がしょっぱくなりすぎてしまうこともあります」

 

練りものは煮込み過ぎないこと(紀文のホームページにある動画「45分おでん」より)
練りものは煮込み過ぎないこと(紀文のホームページにある動画「45分おでん」より)

火を弱めたら、餅入り巾着、つみれ、さつま揚げ、ちくわ、厚揚げ、ウインナーなど、練り製品を投入します。火を止める5分前に、はんぺんや魚河岸あげを入れます。

 

「はんぺんは製造時に空気を含んでいる食品のため、火を入れすぎると膨らみすぎてしまいます。また汁が染み込みすぎると、クタッとなってしまうことも。そのため最後に入れて、汁をかけて温める程度にするといいでしょう」

 

はんぺんは時間をかけずに温めるのがコツ(紀文のホームページにある動画「45分おでん」より)
はんぺんは時間をかけずに温めるのがコツ(紀文のホームページにある動画「45分おでん」より)

具材に対して汁はたっぷりめに

タイムテーブルに書かれていませんが、最近はタコ、ジャガイモ、ロールキャベツなどの具材を入れる人もいるのでは?これらの具材はいつ入れたらいいのでしょうか。

 

「一例ですが、悩んだら、味を染み込ませたい食材から入れてください。ジャガイモとロールキャベツは練り製品と同じタイミングで。ジャガイモは長時間煮ると煮崩れしてしまい、ロールキャベツはお肉が生の場合は火を通すために15分ほど見ておくといいでしょう。タコは火を通しすぎると固くなってしまうので、下ゆでをしておき、練り製品を入れた5分後に入れるといいでしょう。ジャガイモは投稿時にも家庭で入れているという声が多く、おすすめの具材です」

 

好みがわかれるトマトは、トマト風味のおでんを楽しみたければ15分ほど、おでん風味のトマトを楽しみたければ5分ほど煮るといいそうです。

 

「自宅でおでんを作るときは、具材に対してたっぷりの汁で煮込むのがおいしくできるコツです。大根やこんにゃくは切れ目を入れるなど、下ごしらえはしっかりと。あとは煮立ちすぎないように  、弱火でコトコト煮込んでくださいね。強火で煮込むと煮崩れや煮詰まりの原因になります」

 

おでんは作り方をわざわざ習う機会があまりないため、自己流で作っている人も多いと思います。今年の秋冬は、ぜひタイムテーブルを参考にして挑戦してみてください。

 

取材・文/酒井明子 写真提供/株式会社紀文食品