『おかあさんといっしょ』第12代体操のお兄さんとして活躍した福尾誠さん。世界を目指していたという体操競技では悔しい思いを経験して──。知られざる苦悩を伺いました。(全2回中の1回)

習い事はスポーツ一筋

── 小さい頃から体操を始められたそうですが、きっかけはなんでしたか。

 

福尾さん:姉が体操教室に通っていて、母が姉の送り迎えをするのに僕を連れて行っていたそうです。おそらくそこで、はしゃいでいたんでしょうね。先生から、「運動が好きだったら一緒にしてみませんか」と言われて、3歳頃から姉と一緒に体操教室に通い始めたのがきっかけです。

 

福尾誠さん
筋肉すごすぎ!現在公演中の舞台の衣装を身に纏った福尾さん

── どんなお子さんだったんでしょうか。

 

福尾さん:僕はあまり覚えていないんですけど、先生の言うことをちゃんと聞いて活動ができるタイプだったと聞きました。僕自身からすると「本当にそうだったのかな」とは思いますけどね(笑)。でも小さい頃からとにかく負けず嫌いだったと思います。遊びひとつにしても負けたくなかったですね。

 

── 体操以外の習い事はしていましたか。

 

福尾さん:サッカー、ミニバスケットボール、水泳も習っていました。でも、スポーツ以外の習い事はしたことがないです。とにかく体を動かすのが好きな子どもでした。

 

── 長年、体操を続けるなかで、途中で辞めたいと思ったことはありませんでしたか。

 

福尾さん:6歳頃から競技としての練習を始めました。それまでは遊び感覚で、体を動かす楽しさだけだったものが、選手として大会で結果を残すための練習になってからは練習に行きたくないという日はありました。

 

体操競技を始めてから、「オリンピック選手になって金メダルを取りたい」という夢ができたんです。2004年のアテネオリンピックをテレビで応援していて、日本選手が団体で金メダルを獲得したのを観たときに、「僕もこういう舞台に立ちたい」と思ったのが中学1年生の頃でした。スポーツ教室では、周りのみんなも世界を舞台にオリンピックで夢を掴みたいという人が集まっていて、夢に向かって頑張る仲間が近くにいたのも大きかったと思います。

体操で学んだ仲間の大切さ

── 体操を通じて学んだことはなんでしょうか。

 

福尾さん:僕の人生はすべてを体操から学んだと言っても過言ではないです。体操は個人競技でもあるので、自分の結果を残すために練習していくんですけど、自分ひとりでは頑張れないときもあります。

 

同じ夢に向かって周りの仲間たちと練習して切磋琢磨できる、仲間の存在は大きいと思います。今の活動に繋がることでもありますが、ひとりではできないことも、一緒に頑張る仲間がいることでできることはたくさんあるので、仲間の大切さは体操から学んだと思います。

 

福尾誠さん
爽やかなカジュアルコーデがお似合いの福尾さん

── 仲間は時にライバルにもなりますよね。

 

福尾さん:負けたくないとか、勝ちたいというのはスポーツ選手みんなが思っていることだと思います。でも一緒に練習している仲間がどんな結果を残すかと言うのは自分の気持ちにも影響があります。

 

たとえ負けてしまった場合でも、仲間の場合は「なぜ自分が負けたか」が明確でわかりやすいんです。一緒に練習をしているので、試合で結果を残せた理由が、それまでの努力を見ればわかります。

 

きちんと練習をして実績を積んでいる姿を見ているので、「なんで勝てなかったんだ」と思うのではなく、「自分はまだたりなかったから、次は彼以上に練習をしよう」というように考えられます。ライバルでもあり、お互いに高め合える大切な存在です。