16歳からグラビアを始めた佐藤江梨子さん。その後、ドラマや舞台など幅広く活躍していくなかで葛藤もあったと語ります。(全4回中の3回)
家でも練習していたけれど
── グラビアのお仕事は、体型を維持するのも大変だったのでしょうか?
佐藤さん:16歳からお仕事を始めたので、10代の頃はもっとご飯が食べたい…!と思いながら制限していた時期もありました。実際、体重もプラスマイナス3キロくらい、太ったり痩せたりしていたんですけど、あまり気づかれなかったような気がします。身長が173㎝あるので、横よりも縦に目がいきやすいのかもしれないです。
── グラビアのお仕事は、いつくらいまで続けようと思っていましたか?
佐藤さん:当時、グラビアは22歳くらいまでといった風潮があったんです。24歳くらいで結婚して、25歳になったらグラビアとしてはかなり年齢が上というか。私のなかでは、16歳からグラビアを始めて20歳くらいまでかなと思っていて、結局、21歳くらいまでやりました。それ以降は、写真集とか後から出ているものはあるんですけど、撮影はほとんどしていないです。
── 当時のイエローキャブは、グラビアからはじめて、売れたらどんどん服を着ていくスタイルだったとか。
佐藤さん:だから頑張りましたね。グラビアはグラビアで楽しかったんですけど、洋服を着るお仕事が増えていくと、また次のステージに行けた気がして嬉しかったです。
ただ、どんどん新しいジャンルのお仕事も任せてもらうようになってくると、それはそれで不安がありました。たとえばドラマだと、演技レッスンを習わせていただいていたんですけど、本番になるとうまくできたかなぁ、家で練習したときのほうがよかったなとか、後から考えちゃうんです。
── それだけ、真面目に取り組まれているということでしょうか…?
佐藤さん:普段からいろいろシミュレーションするんです。たとえば、こういった取材とか人前でトークをするような場面でも、こういう話をして喜んでいただきたいとか、あの話はどうだろうって、何日も前からメモに書き出したり用意して。きちんと声も整えて、頭では準備をして当日臨むのに、本番になると聞かれたことに一生懸命になっちゃって、後から大丈夫だったかなって思うことはよくありますね。
また、なぜか私のキャラクターが、「何を言っても傷つかないだろう」と思われがちなのでしょうか。たまに、少し悪意のある質問がくると、頭が真っ白になってしまうことも…。人間ですしね。
そう考えると、ドラマとかセリフがあるものより、自分の気持ちとか自分が思っていることを話すようなお仕事だと、私がこの発言をして誰かを傷つけるんじゃないか、誰かに叩かれるんじゃないかって考えることはあります。私がもっと素敵な人間で、もっと素敵なことを言えればいいんですけど、自分の容量も狭いですし。
自分は長いものに巻かれてうまくいく人間なんです。その時代にあった、それぞれの価値観や社会に流されていきながら生きていくと思います。
相手との距離を縮めるために
── グラビアやドラマほか、お仕事の幅が広がるにつれて、意識していることはありますか?
佐藤さん:グラビアもお芝居も物語のストーリーやテーマがあるんですよね。たとえばグラビアなら、好きな人に向けてとか、元気な人に向けてとか、その都度、自分の中でテーマがあります。ドラマも役をイメージしながら演じるのは一緒ですね。イメージに合わせて、ここではこんな表情や仕草がいいだろうって考えながら役に入っていきます。
── スタッフさんとの関係も大事にしているそうですね。
佐藤さん:以前、お仕事でご一緒したディレクターさんから「グラビアもお芝居も、全部の仕事が繋がってるから」って言われたことはよく覚えています。グラビアだとスタッフの人数も少なくて、スタイリスト、ヘアメイク、カメラマン、編集、助手とかひとつの現場で7〜10人くらい。ドラマだともっともっと人数が多いんですけど、なるべく自分から率先して話かけるようにしています。
距離が縮まっていくと、相手も自分に目をかけてくれるようになるし、時には厳しいアドバイスをいただくこともありましたが、その後の成長に大きく繋がったと思っています。
PROFILE 佐藤江梨子さん
高校在学時、1999年に『大磯ロングビーチキャンペーンガール』にて選出。以後、グラビアモデルのみならず映画・テレビ・舞台等・女優として幅広く活動中。
取材・文/松永怜