「つねに戦ってきた感じはあります」と語る友近さん。芸人として活躍の場が広がるにつれ、違和感を流したほうがいいのか、意志を貫いたほうがいいのか。どう向き合っていたのでしょうか。(全4回中の3回)

自分の考えはハッキリしている

── 友近さんはなんでも器用にこなせる印象がありますが、ご自身ではどう思いますか?

 

友近さん:自分の考えがはっきりしているというか、仕事場で揉めることはありますね。自分がイヤだと思うことはハッキリ言うので、つねに戦ってる感じもありますし。テレビショーにのっかるのも素晴らしいと思うんですけど、自分の意志に反したことを求められるとハッキリ「できません」と言えちゃいます。でもそれが大事なんですけどね。

 

── 自分の意志はしっかりされていると。

 

友近さん:正直すぎるかもしれないんですけどね。テレビのワイプも難しい、自分が面白いと思ったところで笑いたいですし、でも最近はちゃんとやってるかな、ニヤニヤしながら口角上げたりして(笑)。

 

── 女同士でバトルをする番組ではどうですか?

 

友近さん:ちょっと苦手かな。スタッフさんから「ここでバトルしてください」、思ってもないのに「この人に噛みついてください」とか。テレビ的なバトルがすごい苦手で。バトルするならホントに喧嘩したいです(笑)。

 

過去に、何度かそうした番組に出たこともありますが、スタッフさんに「こっち側についてください」って言われて自分の意見とは違ったので、「いや、そっちじゃないんで」って言ってました。そこのっかれなくて。

 

── スタッフさんとの関係はいかがですか?

 

友近さん:今はスタッフさんと密に連絡をとりあってお互い行き違いがないように良好にお仕事ができてます。でも若手の頃はネタ番組ではいろいろありましたね。当時は若手なのに頑固だなとか、なんでこいつ言うこと聞かないのって思われたと思います。実際、番組の人にも「スタッフさんに気に入られて可愛がられてなんぼの世界やから」って言われたこともありますよ。もちろんスタッフさんと信頼関係を築いていくのは大事ですし、スタッフさんがいないと番組は成立しません。

 

でも、自分が考えたネタに対してボケをこうしてくれとか、こう変えてくれとか。そうなったら私のネタじゃなくなるし。「あの発言してください」ってスタッフさんに言われるがままやっていたら、今まで積み重ねてきたネタやキャラが崩れていくというか。

 

嫌われる勇気じゃないけど、嫌われても自分が面白いと思うものを出すことが、お客さんは喜んでくれるはずだって。ファンは裏切らないだろうって、ずっとお客さんのほうに気持ちが向いてました。

 

つねになんだかんだ戦ってきましたね。戦ったことによって、イメージが悪くなるんだろうなぁとは想像できましたが、それでも納得できないことはやりたくないっていう。そこの強さは多分、芸人イチかもしれないです(笑)。

 

友近さんの舞台での1枚

最近は戦うのもしんどくなってきて

── 他の芸人さんも友近さんのようにハッキリ言う方もいますか?

 

友近さん:特に大阪から来た人って最初は、ちょっと尖りがちなんですよ。私も含め。でも徐々にみなさんテレビというものが分かってきて、そこは言うこと聞いたほうがいいかなとかだんだん変化していく人が多いのかな。私が東京に出てきたときは、そう言ったことをアドバイスしてくれる人もあんまりいなかったので自分で判断してましたけど、でも今もやってることは変わってないと思いますね。

 

── 芸人さんに限らず、一般の会社でもハッキリ言えない人が大半というか。

 

友近さん:だからみんなに泣き寝入りするなって、いつも言うんですよ。違うと思ったら言ったほうがいいよって。まぁ、自分の場合は若手の頃は今より不器用でしたし、もっと言い方とかあっただろうなって思う部分もあるけど。でも戦ってきたから今があるんやろうなとも思いますし。

 

── 最近も戦っていますか…?

 

友近さん:最近は戦うのもしんどいので、あまり言わないし、見ないし、聞かないしって感じです。戦うためにエネルギーを使うのももったいないから、戦うエネルギーがある分おもしろいネタ作りたいです!

 

「お団子ヘアがかわいい」ロケ休憩中の友近さん

── 今楽しいお仕事はなんですか?

 

友近さん:舞台も楽しいし、ロケとかラジオも楽しいです。思ったことを発信して、くだらんことをワーワー言うのが楽しいですね。コントはコントで面白いんですけど、相手もリラックスしてくれて、相手の素が出るような番組だと相手も楽しんでくれますし。

 

今は、ありがたいことに友近さんの仲の良い人でロケに行ってきてくださいとか、楽しいことをしてくださいっていうのが多いですね。安心できる仲間と一緒に仕事をしている時は、何より楽しいですね。

 

PROFILE 友近さん

愛媛県出身。2000年デビュー。お笑い芸人として活動しながら、女優として舞台やドラマ、映画にも多数出演。2023年6月に明治座、7月から博多座で3度目となる水谷千重子50周年記念公演が決定。

 

取材・文/松永怜