赤ちゃんの絶対的テレビ番組「いないいないばあっ!」。今年3月、番組から「うーたん」が卒業。20年間、番組で相棒だったワンワン役のチョーさんが思い出とこれからを語ります。
うーたんの卒業を聞いたときは「本当にびっくり」
── この3月で「いないいないばあっ!」のおともだち、うーたんが卒業。そのお話を聞いたとき、どう思われましたか?
チョーさん:寝耳に水というか、「えっ、そうなの!?」と、本当にびっくりしました。20年間ともに番組を続けてきた相棒みたいな存在で、この先もずっと一緒だと思っていたから。
でも、うーたんは番組を「卒業」したわけではありません。全国で開催されるイベント「ワンワンわんだーらんど」には出演するし、うーたんはうーたんの世界“音楽の国”で楽しく暮らしていくんだと思います。これからは新しいお友達「ぽぅぽ」が登場します。
── ぽぅぽと一緒に遊ぶのはどんな感じですか?
チョーさん:すごく楽しいです。ぽぅぽは、うーたんよりものんびりした性格なんですよ。だから、全体のテンポもゆったりすると思います。番組の雰囲気自体は変わらず、みんなで歌ったり踊ったりしています。でも、新しい仲間とあらたな世界が広がっていく感じがします。これからどんなふうになっていくか、楽しみですね。
願いは「この先もずっとワンワンを続けること」
── チョーさんがワンワンを続けることは、たくさんの視聴者の方が望んでいると思います。健康管理など気を遣っていることはありますか?
チョーさん:僕自身も可能な限りずっと続けていきたいです。前に「やりたいこと」をズラ―っとリストアップしてみたんです。そのなかで、自分にとってもっとも優先度が高いのは、ワンワンを続けることだとあらためて自覚しました。
だから、少しでも長く続けるために健康管理と体力維持を重視しています。体力づくりとしては走ることを心がけていて、以前は毎日10km走っていました。それが、去年の夏、あまりの暑さにバテてしまい、5kmに減らしました。
──「走る距離を減らした」とさらっと言われますが、毎日5km走るのも相当な運動量ですよね。
チョーさん:いや、やっぱり体力の低下は感じます。ムリをするよりは、少しずつでも続けることが大切だと思うようになりました。食事もグルテンフリーが身体に合っているようです。あと、白砂糖も控えています。いつまで続くかわからないんですが、1年くらい前からお酒もやめました。これは日々、誘惑との戦いです。どうしてビールのCMってあんなにおいしそうなんでしょうね(笑)。
── ワンワンと言えばキレッキレのダンスが印象的ですが、もともとはあまり得意ではなかったそうですね。
チョーさん:いまもダンスは苦手です。もし上手に見えるなら、振りつけを担当するラッキィ池田さんと彩木エリさんのおかげです。踊りやすいように工夫してくれているんです。ワンワンとして踊るのが大変なときはよくありますね。
マスクをして運動すると息苦しさを感じるじゃないですか。あれよりもっと重くて暑い状態で動きまわるわけですから。だから新鮮な空気を吸うと、身体が回復していくのを感じます。
視聴者は親子2代「一緒に年齢を重ねていきたい」
── ワンワンは、赤ちゃんが初めて出会う特別な存在だと感じます。誰かにとって大切な思い出に残るキャラクターを演じることはどう感じていますか?
チョーさん:特別意識したことはないです。でも「いないいないばあっ!」を観ていたお子さんが中学生、高校生になってもまだワンワンを覚えてくれているんですよ。そういうのはすごく嬉しいです。
──「たんけんぼくのまち」を観ていた方もすでに30代、40代です。その子どもが「いないばあっ!」を観て、親子2代でチョーさんにお世話になる方も多いと思います。
チョーさん:「たんけんぼくのまち」を観ていた方たちが30代になったころ、チョーさんがワンワンを演じていると、ちょっとした話題になったようです。その世代の方たちがお子さんと一緒にワンワンを観るようになり、いまではそのお子さんたちが中学生、高校生。だんだん視聴者の方も熟年化している感じがしています。
── たしかに年齢層はあがっているかもしれませんね。
チョーさん:「たんけんぼくのまち」を観ていた最初の世代の方は、そろそろ50代に差しかかってきていますからね。「いないいないばぁっ!」自体を観る機会がなくなってきているんです。それでも、視聴者の方たちの子どものころの思い出のなかに、チョーさんやワンワンが存在しているのは、感慨深いですね。
僕も視聴者の方とともに年齢を重ねていくのは不思議な感覚ですね。今後、どんなふうになっていくのか、興味があります。皆さん大人になり、そろそろ挫折も味わっている世代になっているのではないでしょうか。
「人生って楽しいよね。でも、つらいこともけっこう多いでしょう?じつはチョーさんもずっとそうだったんだよ。生きるって奥深いよね」と、共感し合いたいですね。
ずっと観てくださっている視聴者の方には、一緒に年をとり、人生を味わっていきましょうと伝えたいです。
取材・文/齋田多恵 写真提供/NHK