結婚を機に千葉県香取市に移住した佐藤藍子さん。芸能界で多忙を極めていた日々から、自然豊かな環境に移住して、どんな変化があったのか。

新しい草刈機にテンションが上がる!

── 千葉県香取市に移住されました。ご自宅の敷地はかなり広いそうですね。

 

佐藤さん:自宅に乗馬クラブが併設されていて、東京ドーム1個分くらいの敷地があると思います。家の周りに高い建物がないので、実際より広く感じますね。人工的な音も聞こえないし、鳥が鳴いている声がよく聴こえてのどかですよ。

 

── 1日のスケジュールはどのような感じですか?

 

佐藤さん:芸能の仕事がない日は、午前中に家事や家の用事を済ませて、午後から馬のお仕事をすることが多いです。午前中はシルバーさんやパートさんが乗馬クラブに来てくださるので、人手が少なくなる午後からお仕事に取りかかる感じですね。

 

馬は30頭くらいいますが、馬小屋のフンを綺麗に掃除したり、一頭につき5キロくらいの餌を運んだり。あとは馬の放牧、ブラッシングなどなど。新しい草刈機が納品された日は、テンションが上がりましたね(笑)。

 

颯爽とトラクターを乗りこなす佐藤さん

── 東京で、芸能界のお仕事が中心だった頃に比べて、ご自身で変わったと思うことはありますか?

 

佐藤さん:かなり丸くなったと思います!以前の私は、芸能界のお仕事をもっと頑張らなきゃ。どんどん前に進まなきゃっ…!って必死だったと思います。つねに気持ちが張り詰めていたし、些細なことでイライラしたり、そんな自分が嫌になったり。オンとオフのバランスもうまく取れなくて、さらにフツフツとしたり。

 

でも、乗馬をはじめてから、馬に乗っている時間は、気持ちがどんどん穏やかになっていくのがわかるんです。自分のなかのトゲトゲしたものが流されていくような、人にも優しくなれるような感覚。無理に心を休めようとしなくても、自然とリラックスできたんですよね。結婚する前は、芸能の仕事が休みと分かれば、すぐに乗馬クラブの予約をして、東京から千葉まで通ってました。

 

乗馬クラブのインストラクターの夫と結婚して、田舎に移住した今は、毎日広大な景色とともにお馬さんと一緒にいられるし、毎日が本当に穏やかです。夫にも、当時と比べてかなり丸くなったって言われます(笑)。

ビルから緑が増えていくとホッとする

── 現在は、芸能のお仕事と乗馬クラブのお仕事、どのようにバランスをとっていますか?

 

誕生日ケーキとともに笑顔で1枚

佐藤さん:芸能のお仕事は、いちばん多忙だった10代、20代の頃に比べると圧倒的に減りました。当時は休みなく働いていましたが、今は家業とのバランスをみて、調整しながらでしょうか。ただ、馬関連のお仕事だけでいいかっていうと、それもちょっと違うんです。

 

芸能界は、子どもの頃からずっと憧れていた場所でした。中学生のときに、自分で全日本国民的美少女コンテストに応募して、ありがたいことにグランプリをいただいて。ドラマやCMなど、たくさんお仕事をいただいたし、多忙で余裕がない時期もあったけど、やっぱりお仕事が好きなんです。馬と一緒にいる時間はもちろん幸せだけど、芸能のお仕事がまったくなくなったら、それはそれですごい喪失感を味わいそう…。

 

あと、今思えば、若いときにたくさんの仕事の量をこなせておいて良かったなって思います。今、同じ量をこなすとなったら体力的にもきついでしょうし、あのとき、苦労してでもたくさん経験を積めたことが、今に繋がってるような気もします。これからは量より質でお仕事できたらいいなって思います。

 

── 芸能の仕事がある日は、千葉から東京までどれくらい時間がかかりますか?

 

佐藤さん:渋滞がなければ、車で2時間くらいで着きますね。もともと車の運転が好きなので、いい気分転換になってますよ。東京に収録のお仕事に行くときは、馬のことはいったん忘れて、芸能のお仕事に集中します。収録が終わるとまた千葉に戻っていきますが、街並みがビルからだんだん緑が増えていって、のどかな景色になっていくんですよ。そうすると、あぁ、戻ってきたなぁって実感して。帰ってきたなってホッとしますね。

 

今は、馬のお仕事も芸能のお仕事も、2つとも続けていきたいと思っています。声をかけてもらったらやっぱり嬉しいですし、 縁を大切に続けていけたらいいなと思います。

 

PROFILE 佐藤藍子さん

1977年生まれ。神奈川県出身。93年ドラマ「ツインズ教師」(EX)にてデビュー。ドラマ『総理と呼ばないで』や『篤姫』(NHK)などに出演。

 

取材・文/松永怜