2017年に俳優の和田正人さんと結婚し、その後、長女を出産した吉木りささん。人に頼れないタイプの吉木さんがとった夫への家事分担の行動で協力体制ができたと話します。
頼らずためこむタイプの私が「出産後」に変えたこと
── 2019年に出産し、実際に育児を経験して、ご自身が変わったなと思う部分はありますか?
吉木さん:自分自身も、夫との関係も変わったと思います。もともと私は、ストレスをためこんでしまうタイプ。人に甘えるのも苦手で頼るのも申し訳ないと思いがちでした。だから、何かあっても「私がガマンすればすべて収まる、ひとりで頑張ろう」と考えていたんです。でも、子育てはひとりではどうしようもならないことがたくさんあって。
産後はホルモンバランスが崩れるので、精神的にも不安定になりがちです。イライラが頂点に達して爆発したことも。そういうのは夫にも私にとっても良くないと思い、あまりためこみすぎずに自分の思ったことは「小出し」にするようになりました。娘が赤ちゃんだったときはまったく寝てくれず、寝不足でつらかったことがあります。そのときは夫が2時間くらい娘の面倒を見てくれて、ゆっくり眠ることができました。
── 吉木さんをいたわってくれる、素敵なご主人ですね。最初から協力し合う関係だったのでしょうか?
吉木さん:だんだん変化した感じです。これまではたとえば「使ったお皿がたまっているから洗ってくれないかな」とか、「部屋から散らかっているから片づけてほしいな」と夫に思っていたんです。言わなくてもわかるだろうし、察してくれてくれるだろうと感じていました。
でも、夫からすると、私がしてほしいことを具体的に伝えないと、“どうしたらいいかわからない”らしいんですよ。だから、「察して」ではなく、考え方を変えて「夫は右も左もわからない新入社員、私は上司」と、思うようにしました。いまはいかにうまく指示するかに重きを置いて、「右の棚に粉ミルクがあるから作ってくれる?スプーン1杯は20mlだから、必要な量を入れてね。お湯は人肌になるまで冷ましてね」などと、具体的に伝えています。
── それだけ具体的な指示だとわかりやすいですね。考え方を切り替えるようになったきっかけはありますか?
吉木さん:芸能界の仕事をしていると、生活が不規則になりがちです。夫も1か月も地方に行ったり、深夜に帰宅したり、早朝に家を出るときもあります。だから、明確な家事分担がしにくいんです。わが家に合った方法を試行錯誤した結果、基本的には私が家事をすべて担当し、夫が休みのところは指示に従ってもらうことにしました。
夫は舌が肥えていて、料理が上手です。私が疲れているときは火鍋などを作ってくれます。ただ、料理はすごく頑張ってくれるんですが、片づけがね…。本当によくある話だと思うんですが、調味料も調理器具もこだわるのに、使った食器や器具を洗わないんです。そういうときは「使い終わったものは洗いながら料理すると、あとが楽だよー」と、さりげなく誘導しています。
節分もプールもガチな夫「全力な姿に私も引っ張られた」
── インスタを拝見していると、季節の行事を家族全員で楽しんでいる印象を受けます。
吉木さん:夫のおかげです。根っからのイベント好きで、お祭りや行事に燃えるタイプです。彼が高知県出身なのも大きいのかもしれません。高知って「よさこい祭り」があるから、県民は毎日練習して、1年に1回のお祭りを全力で楽しむマインドがあるようで。だから、夫もすべての行事に熱い魂を持って取り組んでくれます。子どもが生まれてからはなおさらです。
たとえば、節分のときも夫が本格的な鬼の衣装を着て、カメラも子どもの表情と全身が映るように2台用意したんです。「3、2、1のかけ声でオレが部屋に入るから、りさは撮影お願いね!」みたいに打ち合わせもしっかりします。
夏もかき氷機を使って出店と同じようなかき氷のカップやスプーン、「氷」と書いてあるのれんを買って、本格的な屋台ごっこをしました。夫はDIYも大好きだから、大きなプールやブランコを設置して人工芝やパラソルをつけるなど、家庭でも人を楽しませようとする気持ちが強い、本当のエンターテイナーだと思います。
私はもともとあまり行事に関心がないタイプだったんですが、夫につられて全力で参加するようになりました。準備は大変ですが、子どもが喜ぶ姿を見るとやっぱり達成感がありますね。
「テレビからママの声がする」娘の不思議そうな顔に
── グラビアで大活躍だった吉木さんですが、歌番組やバラエティ番組でお仕事される機会も多いですね。Eテレの「コレナンデ商会」のキーウィちゃん役など、子ども向け番組にもご出演され、ママ世代や子どもたちにも人気がありました。
吉木さん:もう番組は終了してしまいましたが、「コレナンデ商会」のオファーをいただいたときはうれしかったです。放送されていたときは娘がまだ小さかったので、よく一緒に観ていました。
「アナと雪の女王」の「レット・イット・ゴー~ありのままで~」など、難しい歌を歌う機会も多かったです。もともと民謡を習っていたものの、ポップスとは歌い方や声の出し方が違うんです。それに番組では普段話している声ではなく、「小学生のキーウィちゃん」として、子どもの声で歌っていたので、そこが大変でした。だから、ピュアな気持ちを思い出して、子どもになりきるよう意識していました。
「コレナンデ商会」を娘と一緒に観ていると、娘は不思議そうな顔をしていたんです。「ママは隣にいるのに、どうしてテレビからママの声が聞こえるんだろう?」と思っていたみたいです。まさか自分が出演する番組を、娘と一緒に観ることになるなんて、数年前は想像もしていませんでした。
PROFILE 吉木りささん
1987年生まれ。千葉県出身。2008年12月、歌手デビュー。2010年3月、バラエティ番組『キャンパスナイトフジ』出演後、グラビアやバラエティ番組など多方面で活動。2017年11月、俳優の和田正人さんと結婚。2019年に第一子となる女児を、2022年に第二子となる男児を出産。
取材・文/齋田多恵 写真提供/吉木りさ