妊活や流産などの経験を穏やかに、丁寧に話してくれたタレントの吉木りささん。自身で経験して初めて知った命の尊さ。彼女の言葉には、人が生まれる強さと優しさに包まれていました。

 

至難の技?吉木さんが赤ちゃんを連れて美容院に行った際の様子

夫とは相思相愛も…出会ったのは「紹介の話」をされて数年後

── 2017年に俳優の和田正人さんとご結婚を発表されました。おふたりはどんなきっかけで出会ったのでしょうか?

 

吉木さん:夫が出演していたNHKの朝ドラ「ごちそうさん」を観ていたときから、「素敵な人だな」と思っていました。そうしたら、共通の知人が「紹介するよ」って言ってくれて。その方は夫にも「吉木りさちゃんが和田君のこと、気になってるみたいだよ」と伝えてくれていたんです。でも、なかなか機会が訪れず…。

 

それから数年が経ち、友だちにあるバーの3周年記念パーティーに誘われたんです。華やかな場は苦手だったんですが、おつき合いで行くことにしました。実際に行ってみたら、友だちは常連客と盛り上がり、私はぽつんと取り残されてしまって。隅のほうで孤立している私を気に掛け、話しかけてくれたのが夫だったんです。

 

── 紹介されたわけではなく、ご主人とは自然な流れで出会ったんですね。

 

吉木さん:結果的にそうですね。私も緊張しつつお話ししていました。そのときに、「今度食事に行きましょう」と誘ってくれました。しかも、一緒に来ていた友だちにも「りさちゃんとふたりで出かけていい?」と承諾をとってくれて。その丁寧さにも好感が持てました。翌週、食事に行くとその場で「つき合ってください」と言われました。

 

バーで話したときに好意を抱いてくれたみたいです。私も素敵な人だなと思っていたから、交際が始まりました。

 

第二子出産後は家族で産後ケアホテルに宿泊してゆっくり体を休めた

── 出会った翌週には交際がスタートしたとは、スピード展開ですね。

 

吉木さん:本当ですね。知り合ってから1年くらいで入籍しました。交際が始まって数か月後には高知にある夫の実家にうかがいました。ご両親と入院中の夫のおばあちゃんに挨拶とお墓参りもして。お互いの事務所の会長にも報告して、とんとん拍子に結婚にいたりました。

夫婦で駅伝好き「箱根駅伝はゴールまで見に行った」

── 吉木さんは箱根駅伝ファンとして有名で、ご主人の和田正人さんも箱根駅伝の元選手ですね。ご家庭で駅伝について話すことはありますか?

 

吉木さん:あります。お正月にふたりでゴール地点まで行ったことがあります。ギリギリまでテレビ見て、ラジオを聞きながら車を走らせて大手町まで行って。そのときは応援していた青山学院大学が優勝したので、「おめでとう!」と夫婦でお祝いしました。

 

── 夫婦で共通の趣味があるのはいいですね。「この選手は速い」など話すことはありますか?

 

吉木さん:私は妊娠・出産とバタバタして情報を追えなくなってしまったんですが、夫は本当に詳しくて、いろいろ話してくれます。箱根駅伝はもちろんのこと、高校マラソン、女子マラソンを含めた、すべてのマラソンの情報をチェックしているみたいです。「この高校生、あそこの大学に進学することにしたんだ、なるほどね」という感じで。夫はガチ中のガチのマラソンマニアですね(笑)。

妊活中に言われた「夫の言葉」が支えになった

── 2019年に、第一子の女の子をご出産されましたが、妊活に苦労されたこともあるそうですね。

 

吉木さん:ずっと妊活を頑張っていたんですが、なかなか授からなくて。毎月のように「今回もダメだった」と思うのが、すごくつらかったです。ドラマやCMで家族が幸せそうな様子を見ると、泣けてきてしまうんです。

 

とくに夫が一緒にいるときだと「どうしてここに赤ちゃんがいないのかな」と、本当に悲しくなってしまって。でも、そうすると夫がすぐに察してくれて「大丈夫だよ」と励ましてくれました。

 

親子3人で公園のブランコを楽しむ様子

── 妊活中は精神的にも苦しいですよね。ちょっとしたことでもつらくなってしまうときもあったと思います。

 

吉木さん:ある年配の方から「子どもってすごくいいよ。りさちゃんも早く子どもつくりなよ」みたいに言われたことがあります。「こんなに妊活しているのに…」と思いつつ、でも、そうしたことも言えず、しんどかったことがあったんです。

 

当時、その経験をブログに書いてしまったのですが、今振り返ると感情的になっていたなと反省しています。もしかしたら、妊娠を意識する前の私も、同じようなことを言っていたかもしれないし、気づかないうちに誰かを傷つけていたかもしれません。

 

妊娠や出産って、奇跡に近いことだと心の底から思います。だから、「結婚したら子どもを授かるのが当たり前」みたいな世間の雰囲気は変わったらいいなと思います。

 

── おっしゃるとおり、いろんな事情を抱えたご夫婦がいると思います。

 

吉木さん:いまだから言えることですが、一度流産してしまったことがあって…。原因は先天的なもので、妊娠初期に流れてしまったんです。そのときも「私のせいかもしれない。あのとき激しく動いてしまったからかな」とか、すごく自分を責めて落ちこんでしまいました。

 

でも夫が「きっとこういうできごとにはすべて意味があると思う。きっと、お腹に宿ってくれた子は、僕たちに命の尊さやはかなさを教えてくれたんだ」と言ってくれて。「りさは絶対何も悪くないからね」とずっと伝え続けてくれました。夫の支えには、感謝してもしきれません。

 

いまでもその子のことを忘れたことはありません。毎日のように「私のお腹に来てくれてありがとう」と、心のなかで伝えています。ありがたいことに私たち夫婦は、その後、娘と息子を授かりました。それはけっして当たり前ではなくて、信じられないくらい素晴らしいことだと感じています。

 

PROFILE 吉木りささん

1987年生まれ。千葉県出身。2008年12月、歌手デビュー。2010年3月、バラエティ番組『キャンパスナイトフジ』出演後、グラビアやバラエティ番組など多方面で活動。2017年11月、俳優の和田正人さんと結婚。2019年に第一子となる女児、2022年に第二子となる男児を出産。

 

取材・文/齋田多恵 写真提供/吉木りさ