36歳で結婚し、40歳で出産した北陽の伊藤さおりさん。数年に及ぶ妊活から待望の第一子の出産しましたが、初めての子育てに葛藤は続きます。（全5回のうち4回目）
妊活を数年間頑張るも、頭は仕事モードだった
── 36歳で結婚、40歳で出産されて、現在1児の母です。結婚される前からブライダルチェックに通っていたとか。
伊藤さん： 35歳で初めて婦人科に行きました。ひと通り検査をしてもらうと、先生から「年齢的にも頑張りどきだね」って言われたことは、今でもすごく覚えています。
── そこから出産するまで数年間、婦人科に通われたそうですね。
伊藤さん：受診を続けながら、卵巣年齢とか、いろいろな数値がどんどん下がっていって、少し焦りました。自分でも体を温めるような食べ物を食べたり、ホットヨガとか水中ウォーキング、お灸…、とにかく体にいいと言われるものは、なんでもやったんじゃないかな。毎月のチャンスを逃さないよう、少し鼻息荒かったかもしれませんが、毎回うまくいかなくてガッカリするんですよ。「はねるのトびら」で一緒だった梶原くんに、「力入れないほうがいいぞ」と言われて、気分転換にハワイに行ったこともありますよ。
妊娠したのは39歳のとき。長年続いた「はねるのトびら」が終わって間もなくですね。あれだけ頑張って妊活していたのに、番組が終わって緊張の糸がとき放たれたのか…。メンタル面の影響も大きかったのでしょうか。
── その後、40歳で出産されたときは、どんなことを思いましたか？
伊藤さん：「やったー！」って喜ぶイメージでいたんですけど、気持ちが引き締まったほうが強かったですね。責任感というか、大事にしなきゃって。旦那は素直に喜んでました。
── 高齢出産にあたると思いますが、子育てはいかがでしょうか？
伊藤さん：体力はやっぱりきついです。子どもを公園に連れて行っても、子どもはどんどん体力がアップしていくけど、こっちはどんどん衰えていきますから。滑り台もブランコも、ヘロヘロになって追いつかない（笑）。
それに、幼稚園に進んだ後も、私とママ友の年齢がすごく離れてますね。人によっては、ママ友のお母さんが、私の年齢ぐらい。つまり、幼稚園の子どものおばあちゃんが、私と同じ年齢くらいの人もいたりして。幼稚園のママさんのなかでも私がいちばん年上だったと思います。
ママ友の集まりでひっそり帰る
── 子育てをしていくなかで、他の子どもと比べるようなことはありましたか？
伊藤さん：前に、女芸人の皆さん…森三中さんの大島ちゃん、村上ちゃんと、北陽の虻ちゃん（虻川）で、クワバタオハラのクワバタちゃん家に行ったことがあるんです。子どもが幼稚園くらいのときかな。村上ちゃんの子どもと、うちの子の生まれがほぼ同じ歳、たしか村上ちゃん家が半年くらい早かったと思います。
ただ、年齢はほとんど一緒なのに、村上ちゃんの子どもは、きちんと椅子に座って、大人しくさつまいもを食べてるんですけど、うちの子はワーって大きな声を出してそのへん動き回ったまま、ご飯も全然食べなかったんです。ちょうど、子どもが何も食べてくれなくて、悩んでいた時期だったので、他の子どもがきちんと椅子に座って食事をしている姿を見て、すごい衝撃を受けましたね。いたたまれなくなって、ひっそり帰りました…。
── 同じ学年でも、生まれた月によって成長過程も変わりますよね。
伊藤さん：今思えばそうなんですけど、そのときはこんなにも違うんだ…ってびっくりしちゃって。幼稚園のお友達からも、「ご飯食べないね」って言われていたし、朝昼パンは食べたけど、野菜は食べないとか。全然食に興味を示さないし、栄養が取れなくてちゃんと育ってくれないんじゃないかって、あの頃はめっちゃ悩んで。毎日、頭が食のことでいっぱいでした。
よく、子どもの相談をしても「大丈夫よ。なんとかなるわよ」って笑ってるお母さんとか見ると、どうしたらそうなれるんだろうって不思議でしたね。
── 子どもが食べてくれなくて、イライラしてしまったことはありますか？
伊藤さん：1回だけ、感情的になって怒ってしまったことがあるんです。でも、それをやってしまうと、逆に食事が嫌いになっちゃいそうな、食事が嫌なイメージになってしまうだろうと反省して。だから、子どもにはなるべく食事は楽しいものだと思ってもらえるように、歌を歌いながら、口を開けて食べさせるとか、試行錯誤しながら挑んでました。
そのうち、なぜかわからないんですけど、自然と食べられるようになってきたんです。今でも理由はわからないですが、結局、その子自身のタイミングだったのでしょうか。今は、なんでもモリモリ食べているので、少しホッとしているところです。
PROFILE 伊藤さおりさん
1974年生まれ、埼玉県出身。北陽のメンバーとして活動。YouTube「北陽チャンネル」や静岡朝日テレビ「とびっきり！しずおか」でも活躍中
取材・文／松永怜
