SNSの総フォロワー約17万人のワーママはるさんこと尾石晴さんが『「40歳の壁」をスルッと越える人生戦略』を上梓し、話題となりました。壁を越えるための「自分業」の育て方とは、なんでしょうか(全3回の3回目)。

 

自分業の肝はお金、つながり、健康の3要素

── 著書のなかで、40歳以降の幸せな人生の要素を分析されています。

 

尾石さん:お金、つながり、健康の3要素ですね。人が幸せを感じる土台だと言えると思います。そのなかで、つながりは幸福を考えるうえでいちばん重要です。40歳からのキャリアは仕事に合わせて人生を変えるのではなく、人生に合わせて仕事をデザインすることが大事です。ぜひ40歳からは「自分業」を始めてください。

 

自分業とは、お金、つながり、健康の3つの要素を満たすことができ、かつやりがいを持って取り組める仕事のことです。

 

── 本業をそうする必要があるのでしょうか。

 

尾石さん:本業でお金、つながり、健康の3つが叶っているならそれがいいですね。会社を経営していて、健康で、時間も調整していて、つながり、お金も満足しているならそれでいいです。けれど、会社員は定年が決まっているので、つながりを持つうえでも、自分が最終的に持てる仕事を本業以外でも構築していくことが大事だと思います。

 

3つの要素が重なればいいので、自分が好きで、得意で、市場があることなら叶うんですね。

 

私もフルタイムの会社員時代は楽しかったけれど、お金は満たされても、ハードワークで健康は満たされないし、転勤で職場の人間関係は切れぎれになりました。

 

お金以外の要素を満たすのが難しかったんですね。そしてお金以外のつながり、健康も成し遂げる自分を考えたとき、お金、健康、つながりの3要素が重なる、自分が好きで、得意で、できることで市場があることをやると考えたら、文筆、物販、発信業をまとめて、私の自分業としていいかなと思ったんです。本業があって副業で補える人もいるし、本業でできる人もいると思います。

昔の日本人は自分業で生きていた

── 自分業を育てていったほうが、のちのち幸せになれると。

 

尾石さん:はい、私はそう思います。お金についても、お金だけいっぱい持っていても幸せではないです。私はヨガも教えていますが、楽しいし、繋がり、健康があるけれど、あまりお金には繋がらない。そこに文筆業を重ねるとお金の部分が満たされて、繋がり、健康、お金がある形になります。

 

ひとつの仕事で全部を満たせるならばいいけれど、そんな仕事はあまりない気がするので、そうすると、どこかが上手くいかなくなったとき、仕事の候補になりそうな別のものをしておくと、あとあと選べるようにもなります。

 

そもそも、多くの日本人はかつて、自分業だったんですよ。昼間は酒屋をして、夜、内職して、土日にはこんな仕事をしてとか、家族みんなでやって、という個人事業主がほとんどでした。高度経済成長を経て、会社で雇われるのが当たり前になってしまったんですね。昔は定年もなかったのが、仕組み化され、そういう生き方が減ってきました。

 

でも会社にメンバーとして雇用されるのではなくて、ジョブ型の雇用が増えていくと、個人事業主が増えていくと思うので、そういうことを念頭に置きつつ、40歳ごろから自分業も用意しておくといいと思います。

 

PROFILE 尾石 晴さん

外資系メーカーに16年勤務。長時間労働のなか、子持ち管理職を経験し、ワンオペ育児の合間に音声メディア「Voicy」で「ワーママはる」名義で発信をスタート。SNSの総フォロワー数は17万人に上る。文筆業なども行い、2020年に会社員を卒業して使徒用途を決めない学びの休暇、サバティカルタイムに入り、2022年からは大学院に進学している。

 

取材・文/天野佳代子 写真/PIXTA