ユニクロなどを手掛けるアパレル大手のファーストリテイリングが、国内のグループ事業について、最大4割の賃上げ方針を示して話題となったのが1月。賃上げの春をどのように迎えたのか、同社広報担当者に文書で伺いました。
世界水準での競争力強化のため
── 3月からファーストリテイリング本社やユニクロなどグループ企業の従業員を対象に、給与を最大4割引き上げるとのことでしたが、実施されたのでしょうか。
広報:はい、本年3月1日付で新制度が始まりました。
── 狙いはなんでしょうか。
広報:働き方と報酬体系をセットでグローバル競争力のあるものに変革し、グローバル企業として持続的な成長を続けていける基盤を整えたいと考えたからです。
また、海外との比較でみると、報酬水準が低位に留まっている日本において、水準の改定が急務であるとの認識から、今回改定することにしました。
── 世界水準での競争力と成長力を強化する思いもあったということでしょうか。
広報:はい、その通りです。
── 実現できた背景はなんでしょうか。
広報:お客様のご支持があってこそ、実現できたものであると考えています。
── 新入社員の初任給も25万5千円から30万円に、入社1、2年目で就任する新人店長は月収29万円から39万円にアップされたのでしょうか。
広報:はい、3月1日付で改定されました。
── 従業員からの反響はいかがでしょうか。
広報:個人的に知り得る範囲では、好意的に受け止めてくれていると感じています。
報酬をグローバル水準に
── 政府も賃上げを求めていますが、そちらも意識されたのでしょうか。
広報:今回の報酬改定は、弊社の報酬をグローバル水準に合わせるもので、弊社では、2020年から順次始めた世界各国・地域での報酬改定と並行して、日本での改定作業を進めており、政府の方針とは関係がありません。
── 一方で成果報酬主義により賃金が下がった方もいるのでしょうか。
広報:基本的に今回の報酬改定で下がるということはありません。
── 他の企業への影響はどのように考えてらっしゃいますか。
広報:本件に限らず、他企業に関するコメントは差し控えさせていただいております。申し訳ありません。
── 今後はどのように賃金について検討されていらっしゃいますか。
広報:今後も企業としての競争力と成長力を世界水準に高めるため、成長意欲と能力のある社員一人ひとりをフェアに評価し、報酬をグローバル水準に合わせていきます。
取材・文/天野佳代子 写真提供/ファーストリテイリング