新幹線が初めて動いた瞬間…!

── 初めて運転した日の事は覚えていますか?

 

原さん:覚えています。運転士になるためには、適性検査に通り、研修や実技訓練を経て、さまざまな試験に合格して国家資格を取得していきます。研修後は新幹線の運転士免許を取得するまで、約半年間の実技訓練に入ります。実技訓練は、先生について訓練を進めますが、初めて自分でハンドルを持って、いざ新幹線が動いた瞬間は、やっぱり感動しました…!

 

「ちゃんと動いた!」って思いました。ブレーキを解き、自分の力でアクセルを入れて新幹線がスッと前に出た瞬間の感覚は、今でも鮮明に覚えています。

 

── 実技訓練を経た後は、いよいよ本番。すぐに一般のお客様を乗せて運転されていくのでしょうか。

 

原さん:免許交付後の初の乗務では、東京から新大阪まで運転するときに、上司が東京から新横浜まで同乗してくれます。上司が、この人は大丈夫だと思ったら、途中の新横浜で降りて行く流れです。上司が新横浜で降りたとき、今まで運転室に一緒にいてくれた先生が居なくなって、運転室にひとりになったときに、とうとう独り立ちしたんだなと実感しました。

 

── 現在は、運転士になって半年。改めて、新幹線運転士になってよかったこと、大変なことはどんなことですか?

 

原さん:よかったことは、自分の子どもも含めてですが、お客さまに無条件に手を振ってもらったり、握手してくださいと言われたり、とても誇らしい仕事だと思えることです。また、車内放送で「運転士はJR東海の原です」とアナウンスがかかったときは、気持ちが引き締まるとともに、やりがいも感じます。運転士になったことで、車両所(新幹線車両の検査・修繕を行う場所)など初めて行った場所もありますし、チャレンジして良かったなと思います。

 

大変なことは、運転中は常に気が抜けないことですね。勤務が終わった後の疲労感はあります。また、東京―新大阪と毎回同じ運転をすればいいのではなく、そのときの天気や車両の状態など、毎回コンディションが違います。日々、状況によって対応を見極めることも大切ですね。