育休復帰後の泊まり勤務はわずか1泊。しかし今回は…
── 約10年ぶりに新幹線運転士のお話がきて、どう思いましたか?
原さん:まさか、「私に話が来るんだ…!」とびっくりしました。基本的に、運転士研修を受けるのは27、8歳くらいの人たちが多いんです。当時38歳だった私に、声がかかるとは思ってもみなかったですね。
ただ当時、子どもは小学4年生と2年生。運転士免許を取得するのに約1年間かかるので、そこから運転士としてやっていけるのか、いろいろ考えました。
── 特にどんなことが気になりましたか?
原さん:適性検査を通ると、4か月間、月曜から金曜まで泊まり込み研修があります。その間、母親が家を不在にしてもいいのか、悩みました。
新幹線運転士の話が来る前にも、育休復帰後に泊まり勤務をしていましたが、次の日には家に帰れる勤務です。その泊まり勤務もはじめは不安でしたが、夫や両親の協力のもと、どうにかやって来られました。しかし今回は4か月の間、平日に家を空けることになります。運転士になることに不安を感じたというよりも、この4か月の研修をのりきれるのかと考えました。
── 旦那さんには、どのようにお話しされたのでしょうか。
原さん:夫は、コロナ禍に入ってから会社がテレワークに切り替わり、1年くらい経っていたころでした。
夫に話をすると、今後も当分はテレワークが続き、家に大人がいる状況は作れるだろうということで「せっかくチャンスがあるんだったら、行かないのはもったいないよ」と。私のほうがあれもこれも心配していましたが、最後は夫がいちばんあと押ししてくれました。
── お子さんの反応はいかがでしたか?
原さん:研修直前は小学5年生だった長女は意外と楽観的でしたが、3年生だった長男はママっ子で、かなり不安がっていましたね。私もそこがいちばんの不安材料でした。
少しでも子どもの不安を取り除こうと、適性検査が終わったあたりから、「4か月の研修期間の話」をはじめ、ご飯の炊き方や私が不在時の対応方法などを、一つひとつ説明していきました。