JR東海の新幹線運転士・原由佳さん(40)。JR東海の新幹線の運転士が約900人いるうち、女性の運転士は約80人。そのうちママさん運転士として活躍しているのは約20人だそうです。新幹線の運転免許を取得したのは40歳のとき、小学生の子どもが2人いる状態で新たなチャレンジを始めました。新幹線の運転士になるには、適性検査や4か月に及ぶ泊まりこみの研修、実技試験など、さまざまな試練が待ち受けています。その間、仕事と家庭はどのように両立していたのでしょうか。

育休復帰後に、新幹線運転士のお話が来て

東海道新幹線の前で1枚

── 現在JR東海の新幹線運転士として活躍されていますが、運転士になる前は、新横浜駅で駅員のお仕事(きっぷうりばや改札対応ほか)や車掌のお仕事をされていたそうですね。

 

原さん:JR東海に入社して、はじめは新横浜駅で駅の仕事を2年したのち、車掌として5年間勤務しました。新幹線運転士になるには、駅と車掌を数年間経験したのち、適性検査に入っていきます。私は、27歳のときに運転士にならないかと声がかかりました。

 

 ── 運転士のお話がきて、どう思いましたか?

 

原さん:せっかくJR東海に入社しましたし、会社で事務、運輸、車両・機械、施設、電気・システムと、たくさんある系統の中で、駅や乗務員業務にあたる運輸系統に所属していた私にとって、運転士を目指すのは最大の目標と言いますか、他の系統に所属していたらできないことではありますので、やってみたいと思いました。

 

── 運転士になるためには、どういった段取りがあるのでしょうか。

 

原さん:まず、運転士になるにあたっての適性検査や睡眠等の社内で取り決めた検査を行います。

 

 適性検査を通ると、次に静岡県三島市にある総合研修センターで、国が指定した運転士に必要な知識を習得するため研修を受けることになります。研修は約4か月の間、月曜日から金曜日まで泊まり込みで講義を受講します。研修の最後に行われる、筆記試験に合格した人のみが、さらに半年間、実技習得のため実際の列車に乗務しながら操縦訓練を行います。最後に実技の試験を行い、合格した人が国家資格である新幹線の運転免許を取得し運転士として乗務を開始します。

 

 ── 厳しく、長い道のりがあるのですね。

 

原さん:ただ、私は運転士資格を取得する前に受ける検査で、一部再検査となり、本来研修に入所する時期が4か月遅くなりました。その間に、第一子の妊娠がわかりました。このため一度は、運転士になる夢を諦めたのです。

 

その後、産休に入って2人の子どもを出産。子ども1人につき3年の育休を取得できるので、長女3年、長男3年と合計6年間のお休みをいただいてから仕事に復帰しました。

 

 ── お仕事に復帰したときは、また駅のお仕事から復帰されたのでしょうか?

 

原さん:はい。新横浜駅で駅の仕事に復帰しました。そこで駅の仕事を3年間担当した後、車掌を1年担当していると、再度運転士の話が来ました。