ミス・ユニバース世界大会で準グランプリを受賞。モデルをはじめ、国連での活動など幅広く活躍している知花くららさん。仕事や子育てと両立しながら2019年から再び大学生活を送り、学び直しを経験しました。これから実現したいことや、学生生活をサポートをしてくれた旦那さんとのエピソードについて伺いました。

祖父の生家の再建は少しずつ進行中

── 社会人として再び大学で建築を学び始め、昨年、二級建築士の国家資格試験にも合格されました。建築を学ぶきっかけはなんでしたか。

 

知花さん:沖縄の慶良間諸島にある祖父の生家を受け継いだことがいちばんのきっかけです。祖父が元気なうちに建て直してほしいと言われました。100年くらい前に建てられた瓦造りの家で、ここ10年くらいは空き家の状態で。国立公園に指定されている島なので景観保全も考える必要があります。

 

知花くららさん
京都芸術大学の卒業式で沖縄の伝統的な着色技法「紅型」の着物姿の知花さん。イエローとブルーのコントラストが美しい

手つかずの自然が残る場所に似合うようにと、もともと興味があった建築をみずから学んで、祖父の生家の再構築を考えられたらいいなと思ったんです。

 

── 夢が膨らみますね。どんなお家なんでしょう。

 

知花さん:皆さんが想像するような平屋で赤瓦の、沖縄らしい家ではあると思います。沖縄の伝統的な家は間取りが特徴的で。玄関らしい玄関がないのですが、基本的に戸を開けて過ごすので縁側から出入りしていたからだそうです。それに、お仏壇を中心に間取りが構成されているところも多いです。

 

祖父はこの場所で沖縄戦を経験しました。その後、那覇に引っ越して、私も那覇で生まれ育ったので、実は小さいころには島に行ったことはなかったんです。初めて訪れたのは報道番組で、祖父と一緒に沖縄戦の取材をしたときでした。

 

悲惨な出来事があった場所ですし、沖縄の明るい側面とはコントラストがあるのですが、訪れた人がそれも受け止めていただいたうえで、島での滞在を楽しんでいただけるような、開かれた空間にしたいと思っています。

 

知花くららさん
沖縄に帰省した際に、伝統的な赤瓦の塀をバックに撮影

── 具体的にどのような家を作りたいというイメージはありますか。

 

知花さん:個人宅の建て直しというより多くの人に楽しんでもらえる空間にしたいので、滞在ができたり、ギャラリーのようなスペースがあったり。訪れた人が島で自然に触れながらゆったり時間を過ごしてもらえるような空間を作ってみたいと思っています。

 

それには島の人たちのご意見も必要なので一緒に作っていけたらいいなと思っていて、少しずつ進行中です。すべてを作り直すのではなく、残せるものは残していきたいと思います。

 

── おじいさんの反応はいかがですか。

 

知花さん:ニコニコして、「頑張ってね」と言ってくれています。今のところ元気でいますが早く実現しなきゃと思いますね。