早生まれで自分だけできない「子どもながらに恥ずかしかった」

── どんな経験だったのでしょう?

 

水野さん:私は3月28日生まれで、クラスでいちばん年下でした。幼い子どもにとって、1年近い年齢差は意外と大きなもので、みんなが分かっていることが私だけ理解できていないという感覚がありました。とはいえ、子どもながらにプライドがあるから、できないとかわからないと言うのは恥ずかしかった。

 

今でも鮮明に思い出す出来事があります。幼稚園で集合写真撮影をする直前に、髪の毛を結んでいたゴムが片方だけとれてしまったんです。先生に結んでほしかったけれど、どう伝えればよいのかわからなくて…。「気づいてほしい」という思いもあったのです。当時の写真を見ると、とりあえず笑っていますが、小さく傷ついていました。

 

その経験から、ボランティアに入るときには、「不安そうにしている子はいないかな、早生まれの子はちゃんとついていけているだろうか」と目を配るようにしています。

 

集合写真の水野さん。「子どもなりに美意識は芽生えているのですね」

── 保育園や幼稚園の頃の記憶って、意外と覚えているものですよね。あの先生が優しくしてくれたとか、褒めてもらって嬉しかったなとか。

 

水野さん:大切にされた経験や、あるいは怒られたことなんかも、意外と記憶に残っているものですよね。そんな敏感な時期だからこそ、できるだけ子どもたちの心に寄り添い、成長の糧の一部になれたらいいなという思いで接しています。

 

もともと「社会にお返しがしたい」「働くお母さんたちの役に立ちたい」と始めた活動でしたが、実は、私自身にとっても、心の安定に繋がっていると感じています。