「幼稚園の先生になろうよ!」誘いにのってみたら…怒涛の日々
── 入学した時点では、幼稚園の教諭免許を取るつもりはなかったそうですね。
水野さん:同じタイミングで編入したなかに、同い年の女性、それも三児の母がいたんです。「幼稚園教諭の免許を取るために編入学した」と。バイタリティーにあふれた素敵な女性で。「一緒に頑張ろうよ!」とお誘いいただいたけれど、今の仕事を続けながら、フルタイムで幼稚園の先生はできないなあと、当初は躊躇していたんです。
先生に相談したところ、背中を押していただき、「きちんと学ぶことで、働くお母さんたちをサポートできるなら」と挑戦することに。ただ、実際にプログラムが始まってみたら、想像以上の忙しさで目が回りそうでした(笑)。
── 特に、教育実習は大変だったとか。
水野さん:なかでも大変だったのが、実習日誌でした。夜、家事を済ませた後、手書きで詳細に記録するので、かなり時間がかかり、実習期間の1か月は、睡眠時間が3時間くらいしかなく、体力的に厳しかったですね。
実習では年少クラスを担当したのですが、子どもたちの成長スピードに驚かされました。最初は少ししか食べられなかった子が、最後のほうではモリモリと食べているのを見て、「人ってこんな短期間で急激に成長するんだ」と感銘を受けました。
実習では、「食育」をテーマにした紙芝居の読み聞かせもしました。きちんと披露できるように、深夜に家で紙芝居の特訓をしていましたね。心身ともに大変でしたが、貴重な経験でした。
── その後、52歳で保育士の資格も取得されています。幼稚園の先生だけでなく、保育士も取得しようと思われたのはなぜですか?
水野さん:保育士不足が問題になっているので、社会の役に立てるのではと思いました。個人的にも、この先、働くお母さんたちをサポートするときに資格があることで安心感をもっていただけるのではと考えました。保育士資格の試験は、幼稚園教諭免許に向けての学びと重なる部分が多く、一部免除科目もあったので、少し楽をさせていただいたように感じます。