金髪に男物のセーラー服がトレードマーク。岸壁幼魚採集家として、海で出会える生き物の魅力を発信している鈴木香里武さん。大学時代に起業し、本の出版やテレビ出演など多方面で活躍していますが、母親で作詞家のすずきかなこさんは、息子さんの小さいころを「学校で孤独を感じていたようで心配していた」と振り返ります。お話を伺いました。
好奇心旺盛だけど人見知り
── 小さいころの息子さんはどんなお子さんでしたか。
すずきさん:すごく人見知りで、私から離れない子でした。子どもたちの輪の中で遊ぶことが得意ではなかったんです。
ある日、それがどうしてか本人に聞きました。すると、「砂場で遊んでいるとほかの子が僕のおもちゃを持っていくし、通りかがりの子が急に頭をポカッとする。なんでかわからない。そういう子とは一緒に遊べない」って。
── たしかに、子ども同士のそういった場面はありますね。理由を伺って納得してしまいました。
すずきさん:そう言われてしまうと、「子どもってそういうものだから」とも言えなくて。幼稚園のころは、静かに遊べる女の子たちと一緒に遊んでいました。
── 集団生活にはどうやって慣れさせたのですか。
すずきさん:子どもたちの輪に入るためにとにかく親も一緒に遊ぶようにしました。私も子どもと一緒に砂遊びをして、滑り台もして。そうやって少しずつ克服していきました。
当時はずいぶん悩んだのですが、知人からのアドバイスもあって、元気で活発な子に憧れたり、比べたりするのではなく、この子が持っているものを育てたいと思うようになりました。
── 当時から好奇心旺盛なお子さんだったそうですね。
すずきさん:言葉も早くて、最初に発した言葉は「今」と「行く」のふたつでした。とにかく今、行って何かしたいことが多かったんでしょうね。外に出ても「これは何?あれは何?」と聞かれることばかり。大変でしたが、ひとつひとつ説明していきました。
── しっかりお子さんに向き合ってこられたんですね。
すずきさん:当時は本当に手探りでした。飼っていたウサギのテーマパークを作ると言って、線路と積み木を組み合わせて椅子の下にくぐらせて、隣の部屋にも繋げて。途中にニンジンや、湖に見立てて入浴剤で色をつけた水が入った容器をいくつか置いて。
ウサギを遊ばせるのにケージから出したら、ぴょんぴょん跳ねて部屋中、水だらけ。
「ギャー!それは勘弁して〜!」と毎日戦いでした。でも、何かに興味を持ったら一直線。マイペースだけれど時間を忘れるくらい好きなことを見つけてほしいと思っていたので自由にさせていました。