パンダファミリーの父・永明が中国へ

── アドベンチャーワールドでは、日本一多くのパンダの繁殖に成功しています。

 

香月さん:唯一のオスである永明が、梅梅(めいめい)(※2008年永眠)との間に6頭、良浜との間に10頭、あわせて16頭の子どもをもうけました。

 

30歳の永明は「飼育下で自然交配し、繁殖した世界最高齢のジャイアントパンダ」であり、パンダファミリーの大黒柱です。

 

パンダはメスの発情期間が2、3日間しかないなど繁殖が難しいのですが、穏やかで思いやりのある永明がおてんばな良浜を優しく受け入れて、相性がよかったのだと思います。

 

永明にはグルメな一面もあって(笑)。竹を選り好みして、スタッフが頑張っておいしい竹を用意しても、気分によっては食べないこともあります。

 

小栗さん:永明は鼻が利くんですよね。飼育スタッフの動きをじーっと観察して、おいしい竹をもらえそうだと思うと「メエー」と鳴いて催促します。

 

香月さん:桃浜(とうひん)も、永明に似て鼻が長いからグルメなんじゃないかと言われていますよね(笑)。

 

── その永明と桃浜、それに桜浜(おうひん)が、2月に中国へ旅立つそうですね。

 

香月さん:3頭とも、中国四川省の「成都ジャイアントパンダ繁育研究基地」へ移ります。特に永明は、2歳にパークに来てから30歳まで暮らしているので、飼育スタッフも愛着がありますし、ずっと見守ってくださっているファンの方も多くて「さみしい」というお声もいただいています。

 

中国のスタッフとはこれまでも一緒に研究を続けてきました。楓浜(ふうひん)が産まれた2020年11月はコロナ禍で出産には間に合いませんでしたが、それまでは毎回中国からスタッフが来て、出産をサポートしてくれました。

 

ですので、これからも何かしらの方法で中国で暮らすパンダたちの情報は伝えてもらえると思っています。

 

まだ具体的には決まっていませんが、新たにオスのパンダを迎えることも前向きに進めていきたいと考えています。パンダの飼育スタッフは10名ほどいますが、誰に聞いても「永明から多くのことを学んだ」と言っています。永明には、これからの人生を中国で幸せに暮らしてほしいですね。

 

── SNSの活用を含めて、今後計画されていることはありますか。

 

小栗さん:SNSはこれからも進化していくと思うので、柔軟に対応しながら、これからも みなさんに笑顔になってもらえるような発信をしていきたいと思います。

 

アドベンチャーワールドがある和歌山県白浜町は、海にも近いリゾート地で、町としても ワーケーションに力を入れていますし、パーク内にもワーケーションスペースを設けています。

 

英語を話せるスタッフもいるので、海外への発信もしていきたいと思っています。

 

まずは、永明、桜浜、桃浜の旅立ちが近いので、SNSを通して「ありがとう」「いってらっしゃい」という気持ちを伝えられるような企画を考えていきたいですね。


取材・文/林優子 写真提供/アドベンチャーワールド