「パンダのおしり」をはじめとする動物の後ろ姿がSNSで話題の「アドベンチャーワールド」。当初は7000人ほどだったInstagramフォロワーが、34万人以上になるまでの取り組みとは?広報スタッフの方にうかがいました。

おしり好きのスタッフの投稿がきっかけに

── SNSで「パンダのおしり」を検索すると、アドベンチャーワールドの画像がたくさん出てきますね。

 

小野さん:パンダのおしりが大好きなスタッフがいて、後ろ姿やおしりの写真をたくさん撮っていたんです。

 

InstagramやTwitterに「#パンダのおしり」や「#パンダの背中」のハッシュタグをつけて投稿し始めたところ、「桃みたい」「おにぎりみたい」と多くのリアクションをいただき、ゲストの方もハッシュタグをつけておしりや後ろ姿を投稿してくださるようになりました。

 

小さいころにしか見られない、ふわふわのボールみたいな綿毛のおしりもかわいいのですが、お父さんパンダ「永明(えいめい)」のオーラたっぷりの後ろ姿も人気です。

 

後ろ姿にも個性があって、飼育スタッフはもちろん、常連のゲストの方のなかには、後ろ姿で7頭のパンダを見分けられる方もいらっしゃいます。

 

シマウマなど、パンダ以外の動物の後ろ姿にも反響があります。

 

野生下では、動物は後ろ姿をあまり見せないものなので、後ろ姿からは、パークで暮らす動物ならではの安心感が伝わるのかもしれません。

 

── Instagramの活用に力を入れるようになったのはいつ頃からですか。

 

小野さん:公式Instagramを始めたのは2018年です。当初は今より少人数で投稿していて、Instagram開始1か月時点でフォロワー数は7000人ほどでした。

 

フォロワーが一気に増えたのは、2018年に良浜(らうひん)・永明に「彩浜(さいひん)」が誕生してからです。

 

パンダの赤ちゃんは手のひらに乗るほど小さくて、ごく限られたスタッフしか見ることができません。そこで、スタッフが撮影した画像を毎日投稿するようにしました。

 

小さな命の成長を手のひらのなかのスマホで見守ってくださった方たちが、継続してフォローしてくださるようになったのだと思います。

 

小栗さん:現在は、大阪にいるスタッフと和歌山のパークにいるスタッフ合わせて10数名のチームでSNSを運用しています。

 

Twitterなら動画、Instagramは写真、TikTokにはコミカルな動き、フェイスブックには読み物というように、媒体の特徴を生かして投稿しています。

 

「かわいい」だけでなく、動物の生態や生息環境について考えてもらえるきっかけになるような投稿を心がけて発信しています。

 

小野さん:私たちとしては、バズらせることよりも「見てくださる方が幸せな気持ちになれるような、動物たちの生き生きとした姿を見ていただきたい」という軸を持って運用しています。

 

投稿する私たちも動物たちの姿に癒やされていますし、楽しみながら発信していることが伝わっていればいいなと思います。

 

── Instagramのフォロワー数は今では34万人以上です。フォロワーが増えたことで、変化を感じられることはありますか。

 

小栗さん:SNSで紹介したグッズはオンラインショップでも好評ですし、「SNSを見て来ました」というお声をいただくこともあります。

 

いちばん多い層は40〜50代の女性ですが、幅広い世代の方にフォローしていただいています。

 

何より、全国的にアドベンチャーワールドの知名度が上がりました!以前は関西圏では知られていても、関東では「上野動物園以外にパンダがいたの?」と言われるほどだったのですが(笑)。

 

小野さん:ゲストからいただいたリアクションやコメントは、飼育スタッフにも伝えていますし、こちらからゲストの方の投稿にリアクションをさせていただくこともあります。

 

パークにお越しになるゲストだけでなく、全国にいらっしゃるゲストとも「つながっている」と感じられるのが、SNSのよさだと思います。

 

コロナ禍で臨時休園せざるを得なかった時期も、世の中で悲しいことが起きていても、動物たちは変わらずのびのびと暮らしています。

 

世の中が止まってしまったように感じられるときでも、動物たちのありのままの姿や命の誕生や成長をお届けできるのは、私たち動物をパートナーにしている企業のいいところだと思います。