離乳食を始めたばかりの赤ちゃんから保育園や幼稚園・小学校での給食まで、「好き嫌いが多くて…」「偏食気味かも」「食べ慣れないものはなかなか食べなくて…」と、子どもの食で悩むママ・パパは少なくないと思います。そんななか、「その食材、15回食卓に出せば食べるようになるよ」という話を耳にしたことはありませんか?

 

なぜ15回?と不思議に思うかもしれませんが、これにはそれなりの根拠があるようです。今回は、その「15回ルール」について調べてみました。

好き嫌い・食わず嫌い・偏食…それって本当?

出した食事をなんでもパクパク食べてくれる子…ママやパパの理想の子供の姿かもしれませんが、現実はなかなかそうもいかないですよね。

 

主食であれば「麺類は食べるけど、ごはんが嫌い」「パンを食べてくれないので忙しい朝に困る」など。

 

野菜でいうと「ニンジンが嫌いで、細かくして混ぜ込んでも嫌がる」「緑色の野菜はほとんど全滅」「ウチの子にとってはポテトフライが唯一の野菜」など。

 

また「離乳食から幼児食に進めているところだけど、かみ応えのある肉類はどれもペッと出してしまう」「脳にもよさそうだからもっと魚を食べてほしいのに、出しても食べようとしない」など、子供の食の悩みは尽きません。

 

そのなかでもよく聞くのが、「初めての食材は食べようとしない」というもの。

 

毎回首を振って嫌がる食べ物をなだめたりすかしたりして食べさせるのは親子ともに疲れてしまいますし、だんだんとその食材の登場回数が減ってくるかもしれません。

 

子供が特定の食材を食べようとしないときには、アレルギーや調理法が発達段階に合っていないなどの理由も考えられますが、思い当たる原因がなくても毎回嫌がるようであれば「この食材が嫌いなんだな」と判断してしまうのではないでしょうか。

 

もちろん本当に好き嫌いの可能性もありますが、実はほかにも理由が考えられるのだとか。それを解決するのが「15回ルール」だといいます。

「15回出せば食べるようになる」の元ネタは?

「離乳食が進んできたので、ピーマンを料理に使ってみたけど、どうしても食べてくれなくて…」

 

そんな悩みを話したときに、先輩のママ友や保育士さんから「15回食卓に出せば食べるようになるよ」とアドバイスされた経験はありませんか?

 

15回までは「慣れる期間」として、食べるかどうかは気にせず食卓に出し、味見だけしたり、それもイヤなら怒らず片づけるだけ…というもの。人によっては「10回」「20回」と言われたり「毎週3回ずつ1か月間」などもあるようです。

 

筆者の子供たちは課題は山盛りだったものの好き嫌いはなかったため、直接ではありませんが、他のママ友が幼稚園の先生からこの「15回ルール」を教わっているのを聞いたこともあります。

 

この「15回」の根拠は諸説ありますが、もっとも有名なのが、書籍『フランスの子どもはなんでも食べる』(カレン・ル・ビロン 著)です。

 

カナダからフランスへ引っ越した著者が抱いた「なぜフランスの子供は皆、なんでも好き嫌いせずにちゃんと食べるの?」という驚きと疑問から、研究を重ねた結果見つけ出した食育のルールをまとめた本で、世界各国でベストセラーになっています。

 

この本では「赤ちゃんや子供には生物学的には好き嫌いはなく、後天的に身につけていく部分が大きい」とされており、「幼い子が食べ慣れない食材を嫌がるのは危険を避けるための本能で、何度も食卓で見かけたり、少し味見して試してみることを繰り返すうちに食べるようになる」という主旨のアドバイスが書かれています。

 

このとき、「何度も試す」の具体的な回数は7~15回というのがこの本の主張であり、実際にやってみて「たしかにそのくらいで食べるようになった!」と実感したママたちの間で語り継がれているのでしょう。

「15回」は私たちが思うより長い?

初めての食材を嫌がったり、不思議そうな反応をする赤ちゃんは少なくありません。

 

また幼児食から大人と同じメニューへ進むときに、ピーマンやナス・セロリなど特定の食材を嫌がる子も多いですが、ママやパパだってすぐにあきらめたりはせず、「ひと口食べてみよう」などとトライしますよね。

 

しかし、3回、5回…と毎回「イヤ!」と言われたり泣かれたりすると、だんだんとバトルがしんどくなってきて、食べやすいものでいいか…となりがち。

 

食べる楽しみはとても大切ですし、無理強いすると最悪の場合「会食恐怖症」など成長後も心に深刻な悪影響を及ぼす可能性があるため絶対に避けたいもの。


 

ただ、「やっぱりこの子はこれが嫌いなんだろう」とあきらめるまでの回数が、私たちの感覚では5~6回というところではないでしょうか?

 

15回という思ったより長い「慣らし期間」が、ある日ふと食べられるようになるポイントなのかもしれません。

 

また「ちゃんと食べられるようにしなくちゃ」「またダメだった…」と、義務感やネガティブな気持ちを抱えて過ごすのか、「食卓に出すことや慣れることがメインの目的」と思いながら過ごすのかでは、ママやパパの気持ちもまったく違うものになり、結果、お子さんの反応も変わってくることが考えられます。

おわりに

今回は「子供が初めての食材をなかなか食べない」「食べず嫌い」と悩むママやパパ向けに、ときどき耳にする「15回ルール」について紹介しました。

 

必ず15回でどんな子も苦手な食材が食べられるという保証はもちろんありませんが、それでも嫌がるときはしばらく休んで忘れたころにまた再開してみたり、20回まで延長してトライしてみたり、楽しみながら工夫できると良いですね。


文/高谷みえこ

参考:書籍『フランスの子どもはなんでも食べる〜好き嫌いしない、よく食べる子どもが育つ10のルール』(カレン・ル・ビロン著/WAVE出版)