近年、「自家焙煎」を売りにしたカフェをよく見かけます。なぜコーヒー豆は「焙煎」する必要があるのでしょうか?今回はバリスタの私が、焙煎することでコーヒー豆にどのような変化が起きているのかをご紹介します。

イメージ写真(PIXTA)

コーヒーの生豆を焙煎することで、旨み、香り、苦味が生まれる

「グリーンコーヒー」とも呼ばれるコーヒーの生豆

コーヒーの生豆は、緑がかったクリーム色をしており「グリーンコーヒー」とも呼ばれています。生豆のままでは青くさく、コーヒー特有の苦味や酸味はほぼ感じることができません。生豆を加熱する「焙煎」という工程を経て、初めてコーヒーのおいしさが生み出されるのです。

焙煎風景。コーヒー豆が徐々に褐色に変化していく

コーヒー豆を焙煎すると複数の化学反応が起こり、香ばしさと深い旨みが生まれます。コーヒー特有の苦味も、加熱による「カラメル化」によるもの。プリンのカラメルソースがほろ苦いように、コーヒー豆に含まれる糖が加熱されることで、苦味物質が作られ、同時に豆の色も茶褐色に変化していくのです。

焙煎によって脂質がコーヒーオイルとして表面を覆う

焙煎したてのコーヒー豆。表面のツヤは油分によるもの

コーヒーを飲むとき、表面に油の膜が浮かんでいることはありませんか?これは、「コーヒーオイル」と呼ばれるもの。コーヒー豆が加熱されることで、表面にスポンジのような無数の穴ができ、内部の脂質がコーヒーオイルとなって表面へとにじみ出すのです。このコーヒーオイルは、コーヒーの柔らかな口当たりや、コクを演出する重要な成分となります。