親であれば、子どもには読書に親しんでほしいと思うもの。しかし、「子どものために」と買い続けていると、本を置くスペースがなくなってしまうことも…。今回は、本を片づける適切なタイミングに悩む親御さんに、教育家・見守る子育て研究所(R)所長の小川大介先生がアドバイスします。

 

「子どもの本がいっぱい!『ベストな手放しタイミング』とは?」P1
「子どもの本がいっぱい!『ベストな手放しタイミング』とは?」P1

【Q】子どもの本っていつまで残しておくもの?

「小さいころは、たくさん本を読ませたほうがいい」という世の中の風潮もあり、なるべくたくさんの本の読み聞かせをしてあげようと日々頑張っています。そのおかげか、子どもは本が大好きになり、いつも「読んで〜」とせがんできます。それが嬉しくて、私もどんどん本を購入。今後、わが家の本棚にはもっと本が増えそうな気がします。

 

しかし、家のスペースは限られています。赤ちゃんを対象にしたものや幼すぎるものは、いつまで残せばいいのかなと思うようになりました。本に記載の対象年齢を過ぎるまででしょうか?あるいは、子どもがひらがなを読めるようになるまででしょうか?何か目安があれば教えてください。

「定期的な処分」に親子で取り組み「選ぶ力」を育む

まず前提として、本に限らず、子どもに関係するものをあれもこれも残す必要はありません。小学校に上がれば工作や書写などの作品をたくさん持ち帰ってきますし、倉庫がなければ保管など到底無理です。

 

親はだれしもはじめのうちは処分するのが忍びなく、あれもこれも残そうとしますが、物理的な制約もあって、だんだん「捨てる練習」を始めるものです。ご相談者様も、本が増えるのが不安であれば、定期的な処分を始めてはいかがでしょうか。

 

たとえば、半年ごとにお片づけの日を決めて、「これは残そうか」「これはバイバイしようね」と親子で選別をしていくのです。なかなか判断できないということであれば、「絶対に残したいものは3つ残す」などのルールを設け、お子さんに選ばせるとよいでしょう。

 

もちろん、「これはどうしても残したい」とお子さんが主張する本は、ルールに縛られず余分に残してもいいと思います。お子さんが生まれて最初に読んだ絵本など、親御さんが残したい本もあると思います。それも残してもいいと思います。

 

ポイントは「何となく捨てたくないから」と残すのではなく、「大事だから」という基準で残すこと。親子ともに少しずつ捨てる練習をしていけばいいのです。

 

思い出は、ものを手放したからといって消えるものではありません。記憶として残りますし、ものを通じた体験が今のお子さんをつくっていってくれているのですから、役割を終えたものは処分しても問題はありません。

 

また、「捨てる」ことは「選ぶ」ことでもあります。将来的にお子さんが、目標に向かって成果を出していくうえでは、膨大な情報のなかから「何をやるのかを探す」のではなく、「何をやめ、何を捨てるかを決める」ことのほうがはるかに大事になってきます。

 

捨てる力は、いわば自分を大事にして選ぶ力。定期的な処分を通じて、幼い頃から段階的に育むのがよいのではないかなと思います。