パパとママが同時に叱らない理由

白い帽子を被り後ろを振り返る加藤さん。3人のお子さんと買い物中

── お子さんが想定外の行動をしたときは、どのような対処を?

 

加藤さん:「パパとママが2人で同時に叱らない」のが、わが家のルールです。両親が一緒に1人の子どもを叱ってしまうと、子どもは「叱られた」事実だけに注目してしまい、「なぜ叱られたか」という内容が頭に入らないと思うからです。

 

悪いことしたとはわかっているけれど、そのとき1人ぼっちにしてしまうと、「してはいけないことをした」という気持ちより、「みんなに叱られて、1人ぼっちは寂しいな」という気持ちがまさってしまうらしいんです。そして、肝心な叱られた理由を忘れてしまう。両親2人から一度に叱られたら、本人の逃げ場もなくなってしまうので、パパかママか、本人なりの逃げ場をすぐに見つけられるようにして、どちらかが叱るようにしています。

 

── 最近は、どのようなことで叱りましたか。

 

加藤さん:次男が長男にミニカーを投げたときです。「おもちゃを投げたらお兄ちゃんが痛いよ」と次男に伝えました。夫か私、どちらが叱るか目線で会話して、夫が注意しました。夫が叱っているときは、私が引く。私が叱るときは夫が引く。叱らずに見守ることはかなり精神的に鍛えられるんですけど、子どものためを思う行動をしていると、自分も成長できている気がしています。

 

でも私は、子どもが危ないことや怪我をしそうなときはすぐに叱ってしまいます。先日は、子どもがわざとお味噌汁をバシャッとこぼしたときに、「火傷したらどうしよう!」と心配になり、叱りました。私が叱るときは夫も叱りたいでしょうけど、あえて別の部屋で話が終わるまで待機してくれています。

 

── 危険な行為や怪我を負いそうなとき以外は、叱らないということですね。

 

加藤さん:叱りませんね。この前、子どもがティッシュを箱からすべて抜き出して細かくビリビリに破いていたんです。叱りたい気持ちを心の奥に押し込んで、「わかるよ。ティッシュを破くのって楽しいよね」と、見守っていました(笑)。

 

── 危険や怪我がないかぎり、叱らない教えはどなたから習ったのでしょうか。

 

加藤さん:私の父です。長女が生まれる前に教えてもらいました。父が私を叱らず、母がよく叱る人で。母に叱られるといつも、私は父になだめてもらってバランスを取っていました。父の教えと経験があるからこそ、実践できているんだと思います。