発達障がいと診断され「ホッとした」

── 発達障がいの傾向は子どものころからあったんですか。

 

林田さん:言われてみると、発達障がいのほとんどの項目に自分が当てはまるなと思っています。小さいときから、忘れ物、失くしものが多くて、ずっと先生に怒られていました。

 

授業中も集中できなくて、教卓の前にある最前列の席に小学校低学年のときはずっと座らせられていました。一方で過集中になる傾向もあって、発達障がいの中のADHDの診断を受けたのですが、該当することがありすぎる感じでした。診断を受けてホッとしました。

カフェで構想話し、転職へ

── そこから2018年に監査法人を辞められて、キズキに入ったきっかけはなんだったんでしょうか。

 

林田さん:日々の仕事は、コンサータという薬を服薬して前よりもできるようになっていましたし、監査法人の仕事も楽しく続けていましたが、自分が障がいか否かに関わらず、生きづらさを感じる人を支援する仕事がしたいともともと思っていたんですね。そんなとき、キズキ代表の安田に会って「自分も事業を創る側に回ろう」と決めたんです。

 

安田とは、仕事以外で行っていたプロボノのNPO活動で知り合い、SNSで繋がりました。最初は転職する話ではなかったけれど、安田が「うつ病の人のためのポータルサイトを作りたい」と言っていたんです。

 

実は、発達障がいの人が二次障がいとしてうつ病を発症することが、すごく多いんです。私も同意して「そのサイトに発達障がいについても載せたい。自分も手伝いたい」とメッセージを送ったのがきっかけです。

 

私が「発達障がいの人のための、公認会計士の予備校をつくりたい」と伝えたら、安田が今のキズキビジネスカレッジにつながる学校の構想を話してくれて。二人で議論していたら、本当にやりたくなって、転職したという形です。

 

── 楽しい打ち合わせだったのでしょうね。しかし、大手監査法人からベンチャーへ、戸惑いはなかったですか。

 

林田さん:そうですね。多少はありましたけど、ずっと監査法人にいるつもりもなかったので、ある程度、どこかで転職はするぞと覚悟はしていた感じでした。

 

── そして2018年9月にキズキに入社されました。うつや発達障がいで仕事を辞めたり、休んだりした人が学びなおせるキズキビジネスカレッジという就労支援をすぐに開始したのでしょうか。

 

林田さん:まずは、クラウドファンディングを通じて500万円ほど、いろんな方からご支援いただいてから開始しました。私は立ち上げ担当として入り、数か月後に事業部長となりました。

会計、エクセルを学べるキズキビジネスカレッジを開始

── キズキビジネスカレッジではどんなことを教えていますか。

 

林田さん:たとえば、マーケティング、会計、エクセル、最近はサイバーセキュリティ、動画編集などの講座があります。講座を選んでもらい、スキルを学んでもらっています。今は、新宿に2校、他は大阪、横浜に展開して計4校でやっています。

 

── これまでどれぐらいの方が学ばれて、復職、転職されて行ったのでしょうか。

 

林田さん:合計して利用者が260人前後、うち卒業生が76人でしょうか。