公認会計士として勤務中、ストレスによる過呼吸で倒れてしまった林田絵美さん。自分自身が発達障がいの特性を持っていると気づき、大手監査法人を辞め、うつや発達障がいの人がリスタートするためのビジネススクール「キズキビジネスカレッジ」を立ち上げました。何度でもやり直せる社会を目指して取り組む、その思いとは。

早稲田在学中に公認会計士試験に合格

── 林田さんは早稲田大学政治経済学部卒業が2015年で、公認会計士論文本試験合格が2013年と伺いました。在学中に公認会計士になったのですか。

 

林田さん:そうですね。

 

── すごいですね。どうして、そもそも公認会計士を目指したのですか。

 

林田さん:高校生のころ、周りと会話の話題が合わなくて、生きづらさを考えることがあったんですね。

 

だから、生きづらさを感じる人を支える仕事がしたいなと思ったんです。そんな中で、NPO法人や公務員も検討しましたが、ビジネスの側面で支えたいと思い、会計士を選びました。

 

笑顔で話をしてくださる林田さん

── さらに、卒業後は大手のPwCあらた有限責任監査法人に入所されたと、それはどうしてなのでしょう。

 

林田さん:今でこそどの企業でもSDGsについて語られますが、就職活動をしていた当時、そうした考え方が今ほど普及していなかったために、そのような意識が高い法人と出会うことは少なかったんです。4大監査法人のどこかに入りたいと思っていたとき、PwCは「社会的価値が企業価値を作る」と説明会で話していて、ここに行きたいと思いました。

 

── 3年間いた監査法人ではどのようなお仕事をされたのですか。

 

林田さん:私は金融部門の担当となりました。証券会社の決算業務を効率化したり、監査に入ったりしましたね。タイのバンコクに行って、現地にある子会社の決算についてアドバイザリー業務をしたこともあります。

監査法人で勤務中、ストレスで過呼吸に

── とても活躍されているように感じますが、勤務中にストレスで倒れられたとのこと。可能な範囲で伺えますか。

 

林田さん:はい、ちょうど社会人1年目で、自分が体験する2回目の決算を終えたころでした。業務にも少し慣れてきて、仕事量が増えた状況にありました。

 

お客様とのコミュニケーションが多いプロジェクトを抱えており、複数のお客様と同時にコミュニケーションを取らなければいけない状態だったんです。

 

私は、もともと一点集中で取り組むことが得意な方で、マルチタスクは脳にもすごいストレスなんですね。そんなとき、ある日突然、パニックになってしまったという感じです。2017年ごろのことですね。職場で過呼吸になって倒れて、救急車を呼ばれました。

 

倒れた後も、もう一度職場で過呼吸になる体験を繰り返して、メンタルクリニックに行きました。

 

クリニックでは生育歴を聞かれ、チェックテストを受けて、発達障がいの可能性が高いと言われて、正式な診断を受けました。