学芸員から「仏像顔出し看板アーティスト」として独立
── 着ぐるみへの違和感が、「移動もできる仏像顔出し看板」につながったのですね。モチーフはなぜ仏像に?
ニシユキさん:顔出し看板に描くモチーフをどうするか考えたとき、昔見た東寺の「立体曼荼羅」が浮かびました。
初めて立体曼荼羅を見たときの衝撃や、度肝を抜かれるほどの躍動感がずっと心に残っていて、形にしたいと思ったんです。
最初に制作に取りかかったのも立体曼荼羅の一部である「帝釈天」の顔出し看板でしたね。
──「2D仏像顔出し看板」を作り始めた当時のことを教えてください。
ニシユキさん:2013年に仏像顔出し看板を作り始めた当時は、博物館学芸員として働きながら、地元・岡山県内のイベントに出展していました。
イベントで仏像体験(「2D仏像顔出し看板」を装着すること)した人がSNSに写真を載せてくれたり、地元メディアに取り上げられたりするようになり、徐々に認知が広がっていったように思います。
そのうちに県外のイベントや、宗教や宗派を超えた伝統的文化イベント「寺社フェス 向源」などからも声が掛かるようになって、2020年にやっと独立できました。