昔から音楽やラジオを聴きながら勉強する人はいますが、果たしてこの学習法は効率的なのでしょうか。リビングでイヤホンをしながら勉強をしているお子さんを心配する相談者に、教育家・見守る子育て研究所(R)所長の小川大介先生がアドバイスします。

 

「『ながら勉強』はアリ?リビング学習で押さえたい脳科学的視点」P1
「『ながら勉強』はアリ?リビング学習で押さえたい脳科学的視点」P1

【Q】イヤホンでながら勉強「効率悪い?」

中学生の息子と小学生の娘を育てる母です。平日の午後、わが家のリビングには、私と息子と娘が大集合。私が仕事をし、息子は勉強をし、娘はYouTube鑑賞をしています。

 

心配なのは中学生の息子です。イヤホンで音楽を聴いたり、YouTubeを聴きながら勉強しています。私もオンラインミーティングが入ることもありますし、娘がすぐそばでYouTubeを観ているのでイヤホンをしていないと集中できないのかもしれませんが、勉強の効率が悪くないかなと心配です。

 

息子は、勉強ができているというのですが、果たして…?「深夜ラジオを聴きながら勉強していた」という大人もいるし、「ながら勉強」はアリなのでしょうか?

まずは勉強するために「環境」の改善を

お気づきになっているかとは思いますが、そもそもリビングが集中力を妨げる空間になっています。その原因となっているノイズを「ご相談者様と娘さんがつくっている」という前提を無視してはいけません。

 

テレビの砂嵐のザーッという音のように、人間に聴こえるすべての周波数が均等に混ざった音は「ホワイトノイズ」といい、集中力を上げる効果があることがわかっています。

 

しかし、そうではない不規則な音は集中力を阻害しますので、ご相談者様のオンラインミーティングや娘さんのYouTubeの視聴で発生する音は、息子さんの学習の邪魔になっているはずです。

 

ご相談者様は「ながら勉強」とおっしゃいますが、息子さんはご家族がつくるノイズを遮断したいがためにイヤホンをされている可能性は否めません。まずは、こうした学習効率の悪い空間で「よく勉強しているね」と認めてあげるべきですし、すぐに環境を改善してあげてほしいと思います。

 

とはいえ、間取りやスペースの関係で、どうしてもリビング以外に学習空間を個別に確保できないということもあるでしょうし、息子さん自身が、家族と一緒にいるほうが安心するからとリビングに来ていることもあるでしょう。その場合は、リビングの中で工夫して学習に集中できる空間をつくってあげるとよいと思います。

 

たとえば、ノイズキャンセリング機能がついたヘッドホンやイヤホンを使うのはいかがでしょうか。ご相談者様と娘さんがつくりだす騒音を手軽に遮断できます。また、背中合わせの方向で座るなど、視界に家族の姿が入らないような配慮をするのも良いと思います。