親であれば誰しも、お子さんの可能性を広げてあげたいと思うもの。しかし、さまざまな情報や体験の機会を与えてあげても、お子さんが興味を示すとは限りません。今回の相談者も、お子さんの世界を広げてあげたいものの、なかなかうまくいかず悩んでいるとのこと。教育家・見守る子育て研究所(R)所長の小川大介先生が、アドバイスします。
【Q】一歩を踏み出せない小3娘「どう接したら?」
小3の娘は、未就学児のころから続けていた学習塾も水泳もやめ、今は週一のパズル教室だけに通っています。彼女の世界を広げてあげたいと思って、いろいろな習い事を提案しているのですが、なかなかのってきません。
娘は、K-POPアイドルやダンスが好きなので「ダンスレッスン行く?」、子ども新聞の英語を一生懸命音読しているので「英語習う?」、フワちゃんのプロレスデビューがカッコいいというから「格闘技やる?」、体が大きいから「PTAの親子バレー教室に行く?」…。問いかけてみたのですが、恥ずかしいし、めんどくさいようで、すべて「ヤダ」と言われてしまいました。
出かけるのはお洋服とメイク用品のウィンドウショッピングとカフェめぐり。親から見ると「大人になったらいくらでもできるんだから、子どものうちからそんなことしなくても」と思ってしまいます。「ヤダ」で終わらせず、一歩を踏み出してもらうにはどうしたら良いでしょうか?
「子どもの興味・関心」は徐々に大きくなるもの
厳しい言い方かもしれませんが、お子さんが「めんどうくさい」「ヤダ」と思っているのは、もしかすると、お子さんの興味・関心をすぐに何か新しい挑戦に結びつけたがるご相談者様そのもの、なのかもしれません。
読者の皆様のなかにも、幼いころに習い事の体験に行き、「どう?来週から始める?」と親に急かされて困ってしまった…といった経験がある人はいらっしゃるのではないでしょうか。そのようなせっかちな親御さんのもとでは、子どもが好奇心を隠すようになっていしまうことは多々あります。
お子さんの可能性を広げてあげたいと願うのは、親であれば当たり前のことですが、「興味・関心は徐々に大きくなるものだ」ということを忘れてはいけません。子どもには子どものリズムがあり、「いいな」と思う段階から「やってみる」の段階の間にはかなりの距離があります。
活発ですぐに「やる!」と決めるタイプの子もいますが、大きな傾向としては、自分が新しいことをやっている姿を想像する、あるいは試しに一度やってみた感じを何度も思い出すような、“味わう時間”が子どもには必要です。「私もできるかな」「ちょっと自信ないけどおもしろそうだな」といった気持ちを行ったり来たりして初めて、「やってみよう」に至るのです。
ご相談者様のお子さんは、ウィンドウショッピングやカフェめぐりがお好きだということなので、おそらく自分で行動して何かを変えていくというよりも、まずは「見る・知る」から入るタイプ。実際に何かをやろうとするまでに、味わう時間が十分に必要なのだと思います。