「子どもの頃、決められたものを使わなきゃいけないのが、すごく嫌でした」と話すゆうたろうさん。モデル・俳優として活躍の場を広げ、放送中のドラマParavi『来世ではちゃんとします 3』(テレビ東京系)では、かわいすぎる“男の娘”・栗山凪役で話題を集めています。集団行動が苦手だったという子ども時代のお話を聞きました(全4回中の2回)。

 

ゆうたろうさん
リラックスした笑顔が素敵なゆうたろうさん

「僕だけ違う制服」で通った小学生時代

── 小さい頃のゆうたろうさんは、どんな子でしたか?

 

ゆうたろうさん:わかりやすく、戦隊ものが好きな子どもでした(笑)。

 

でもそのころから「みんなと一緒にしないといけない」というのが、しっくりこないというか…。

 

小学校から制服があったのですが、「なんでみんなと同じものを着なきゃいけないんだろう?」と違和感があって。僕ひとりだけ違う制服を着て通いました。

 

── 親御さんから、「みんなと同じにしなさい」と言われませんでした?

 

ゆうたろうさん:どうして一緒が嫌なのか、「なんで?」と理由は聞かれましたね。

 

なぜ嫌なのかを素直に言葉にして伝えたら、母が「わかった。ほかのところに一緒に買いに行こう」と言って、お道具箱とか習字セット、ランドセルなど、一緒に僕が好きなものを買いに行ってくれました。

 

── 学校側も、それを認めてくれたのでしょうか?

 

ゆうたろうさん:母が学校と話をしてくれて、認めてもらいました。

 

そのころから集団生活に馴染めないというか、得意じゃないところがあったと思います。

 

── 過去のインタビューでは、不登校や引きこもりの時期があったことを明かされています。そのときもご両親は否定せずにいてくれたり、中学を卒業して働くと決めた際も背中を押してくれたりしたそうですね?

 

ゆうたろうさん:母は自由でいさせてくれるタイプなんです。でも「もし間違った選択をしたら、責任は自分で取りなさいよ」という感じで。

 

子ども時代もそうですが、そこで押さえつけられていたら全然違ったと思いますし、僕自身の考えを尊重してくれたから救われましたね。

 

ゆうたろうさん
「みんなと一緒というのに違和感があったし、苦手でした」と語るゆうたろうさん

姉や妹とは「一緒に買い物やメイクをし合う仲」

── お姉さんが2人と妹さんがいる、4人姉弟。お姉さんや妹さんも、ゆうたろうさんと同じように個性的なところはあるのでしょうか?

 

ゆうたろうさん:姉たちも妹も、それぞれのスタイルはありますね。

 

お互いに洋服を「貸して」とかは今でもあるんですけど、好みは全然違いますし、同じ店では絶対買いものできないような4人です(笑)。だから一緒に買いものに行くと、すごく時間がかかります。

 

でも僕だったら選ばないものを「これ似合うんじゃない?」と、新しい角度から勧めてくれたり、「絶対似合わないけど、僕はこれを着てほしい」みたいなこだわりもあったりして、姉や妹と一緒にいるのはおもしろいです。

 

── すごく仲良しな感じで、楽しそうです。

 

ゆうたろうさん:友達感覚で、お互いにメイクし合うこともあります。

 

でも「ほかの友達とじゃ、なかなかできないな」とも思うし、やっぱり友達じゃなく、そういうやりとりを一緒に楽しめる姉や妹が多くてよかったなって思いますね。

 

── 特にすぐ上のお姉さんと、仲良しなんですよね?

 

ゆうたろうさん:そうです。お姉ちゃんが好きで、洋服とかメイクは地元の広島に住んでいるときから、お姉ちゃんと一緒に週末お出かけして、選んでもらって…みたいな感じでした。

 

10代のころのお姉ちゃんの影響は、本当に強かったですね。仲がよかったがゆえに、無意識にずっと影響を受けていたと思います。

 

好きになるものも、お姉ちゃんが少女漫画を読んでいたから、僕も少女漫画を読むようになって、「少女漫画を読んでいたら、絶対モテるから大丈夫だよ」とか、「あなたはこのイケメンを目指しなさい!」とか言われていました(笑)。

 

ゆうたろうさん
少女漫画にそのまま登場しそうなキュートな笑顔

姉がしてくれたメイクで一歩踏み出せた

── 初めてのメイクも、そのお姉さんがしてくれたそうですね。

 

ゆうたろうさん:当時の僕は本当に自信がなかったし、外にも出たくなかったんです。自分のことが嫌で、ただ顔を隠したくて「マスクをしてなきゃ…」みたいな。

 

それがお姉ちゃんにメイクをしてもらったのをきっかけに、自信が持てるようになりましたね。

 

── お姉さんがゆうたろうさんに、「メイクしてみる?」と聞くような流れがあったのですか?

 

ゆうたろうさん:最初はお姉ちゃんの友達が地元のファッションイベントに参加する話から、「弟くんにモデルをお願いできないか」ということになって。そのために、お姉ちゃんにメイクをしてもらったんです。

 

14歳か15歳のときのことで、「メイクしたら、どうなれるんだろう?」と純粋に好奇心があったし、自信のない状況から「なにか一歩踏み出せたら」という気持ちでやってもらいました。

 

そこから自分でもメイクをするようになって、ちょっとずつ自分を好きになれて。

 

── 大好きなお姉さんのメイクで「一歩踏み出せた」のですね。

 

ゆうたろうさん:本当にそのきっかけがなかったら、ずっと自分のことが嫌なままだったかもしれません。

 

今考えても一歩踏み出せた転機というか、すごく大きなことだったと思います。

 

ゆうたろうさん
モード感のある表情も魅力的

 

PROFILE   ゆうたろうさん

​1998年広島県生まれ。2016年にデビューし、モデル・俳優として多くの作品で活躍。2022年12月主演映画『僕らはみーんな生きている』が公開され、1月よりドラマ『来世ではちゃんとします 3』に出演中。

 

取材・文/鍬田美穂 撮影/二瓶彩 ヘアメイク/三浦彩