児童養護施設の「育てるノウハウ」で地域の子育て支援へ

── 守山学園は開かれた児童養護施設をつくられている印象がありますが、これからどういう場所でありたいと思いますか?

 

谷村園長:児童養護施設に入所する子どもは全体の数パーセントにすぎません。ほとんどの子どもが、家庭に課題があっても家にいるままです。それなら、私たち児童福祉の人間や行政がすべての子に関与しなければならないのではないかと。子どもの人数が減り続けているのに、虐待の通報件数は伸びている現状を何とかしたいと思っています。

 

社会全体で「うまく子育てできない」「子育ての仕方がわからない」という親御さんが増えています。養育のノウハウが豊富な児童養護施設が地域の子育てを支援することが必要なのではないかと考え、守山学園では、昨年から社会福祉士の資格を持った職員たちが里親家庭をまわるなどの支援を本格的に始めました。

 

守山学園の地域連携室の相談員たち。子育ての相談などにのっている

自分だけが良ければそれでいいではなくて、社会全体で、すべての子どもが辛い思いをすることなく、健全に育ってほしい。まわりからは、「地域で支えれば支えるだけ、守山学園自体の経営が厳しくなるんじゃないか」とも言われるんです。「入所する子どもが減るんじゃないか」という議論もありますが、「それでええやん」と。

 

施設が持っているノウハウを子育て支援に活かせればいいんです。入所者を増やすだけが施設の目的ではないので。子どもたちが安心して暮らせるのがいちばん嬉しいですよね。