園長になって初出勤の日に「床が抜けた」

── 園舎を建て替える前は建物の老朽化が進んで、ベランダなど危なくて子どもたちを近づけられなかった場所もあったそうですね。

 

谷村園長:私は5年ほど前に県職員を定年退職して、守山学園の園長になりましたが、初めて出勤した日に、園舎の「床が抜けました」と報告があって。「なんてところに来たんだろう」と思いましたね。

 

建て替えの課題はどこの児童養護施設でもあると思いますが、たとえば建て替えにあてられる運営費は大半が人件費に使われます。十分な設備に建て替えようと思ったら、人件費を節約せざるを得ないのが現状なんです。

 

つまり「人件費を節約する」=「職員への処遇が低下する」となってしまう。

 

それでいいのでしょうか。30年後に改築を予定していたとして、その分のお金を児童養護施設のほうで残さなければならないとなれば、人件費を削って積み立てを続けるしかない。人手が必要な児童養護施設で、です。

 

公園で遊ぶ子どもたち

── 児童養護施設は職員一人ひとりの負担も大きく、志半ばで疲弊して退職される人が少なくないと聞きます。

 

谷村園長:私が園長として守山学園に来たばかりのころも、職員がすごく疲れていたんですよ。

 

話を聞くと、「宿直回数が多い」というので「それはまずい」となり、すぐに人員を増やしました。その分を補う運営費についてはまたおいおい考えようと。

 

私が園長に就任した当初、職員は21人でしたが、現在は40人以上います。クラウドファンディングやSNS発信で採用についても広く知っていただいて、「職員を募集していませんか?」とお問い合わせもあってありがたいかぎりです。今春もさらに10人ほど採用したいと思っています。