閉鎖的といわれる児童養護施設で、TwitterやInstagram、ブログなどを使い積極的に情報発信をする守山学園(滋賀県守山市)。子どもたちの様子を丁寧に伝えるSNS発信はどんな理由で始まったのでしょうか。谷村 太(たにむら・ふとし)園長と、SNS担当の仁科早央里(にしな・さおり)さんにお聞きしました。

 

守山学園の谷村 太園長と仁科早央里さん
守山学園の谷村 太園長(写真右)と仁科早央里さん。2022年11月に完成した新園舎で

築30年以上の園舎「建て替えるお金がない!」

── 守山学園がSNS発信を始めた理由を教えてください。

 

谷村園長:守山学園は昭和34年に開設された児童養護施設です。園舎自体は築30年以上で、建て替えが必要になったんです。でも、うちはお金がなくて。困っていたら、後援会の市議会議員さんから「クラウドファンディングをやってみたら?」と提案されて、「やってみようか」と。守山学園のこと、また世の中の人たちに知ってほしいことも伝えたくて2020年10月にSNS発信を始めました。

 

── 世の中の人に知ってほしいこと、というのは?

 

谷村園長:「守山学園が園舎の建て替えのためにクラウドランディングを行うことになった背景」です。

 

児童養護施設ではおもに、子どもの生活費、職員の人件費などがかかりますが、補助金など公費が収入源となっていて、施設の定員もお金の使い道もすべて決まっています。建て替えについては国から補助金が出ますが、最大で2分の1。実際は2分の1未満なので、5割以上は施設側の自己負担です。

 

収入源が限られているため、児童養護施設を運営しながら、建て替えに必要なお金を貯めていくことが難しいんです。うちのような民間の場合は、自己資金や借入金に頼らざるを得ない。つい10年ほど前まで、以前に建てた園舎の借金を返し続けていたほどです。

 

こうした建て替えの課題を含めて、社会的養護の子どもたちを社会で育てる仕組みを国や自治体が主導してつくっていく必要があります。ですから、クラウドファンディングで社会にこの問題提起をしたいと思ったんです。

 

守山学園
建て替え後の新園舎