社会情勢や人々の価値観は時代とともに移り変わりますが、大きな変化があったタイミングで、該当する年代の人たちをまとめて「○○世代」と呼ぶことがあります。今回は、これから生まれてくる赤ちゃんや子供たちのママ・パパである「ゆとり世代」「さとり世代」の子育てについて、その親世代の「バブル世代」の特徴もまじえて紹介します。
ゆとり世代・さとり世代とは
日本には昭和の時代からいくつもの「○○世代」が存在します。
分類方法はいろいろあるため重なっていたり年代が前後したりしている部分もありますが、世の中でよく使われる名称を古い方から順に並べると、おおむね以下のようになります。
- 団塊世代…1947~1949年生まれ
- しらけ世代(新人類)…1960年代生まれ
- バブル世代…1965~1969年生まれ
- 氷河期世代(ロスト・ジェネレーション)…1971~1984年生まれ
- 団塊ジュニア世代…1971~1974年生まれ
- プレッシャー世代…1982~1987年生まれ
- ミレニアル世代…1980~1990年代前半生まれ
- ゆとり世代…1987~2004年生まれ
- さとり世代…1996~2005年生まれ
- つくし世代…1985~2000年生まれ
- Z世代…1995~2010年生まれ
- コロナ世代…2004~2007年生まれ
- アルファ世代…2010年以降生まれ
※資料や書籍により年代はやや相違があり、世代の区別には諸説あります
そして上記のうち、「ゆとり世代」と「さとり世代」は、学習指導要綱の改訂により、ゆとり教育がスタートした時期に小学校や中学校に通っていた1987~2004年生まれの人たちをいい、2023年現在の年齢では18~35歳になります。
さとり世代はその中でも後半の1996~2005年前後に生まれた人たちと定義されていて、2013年には流行語大賞にもノミネートされています。
ゆとり世代・さとり世代の価値観は
バブル崩壊後の景気が低迷する世の中で育ったゆとり・さとり世代の行動や考え方は、争いや競争を嫌う・ガツガツとした物欲や出世欲が薄い・仕事よりもプライベートや友人とのつながりを優先する・恋愛や結婚を重視していない…といった特徴があると言われています。
なお、この年代はさらに「つくし世代」とも重なっています。
つくし世代は、両親が共働きで大変な姿を見ながら育ち、保育園で集団生活が長かったことなどから、他人への思いやりや共感力が高いのが特徴だそう。「つくし」の語源となった「尽くし」、つまり人のために貢献して喜ばれることで幸福感を得る人が多いとされています。
ゆとり・さとりの親世代は「バブル」
ゆとり・さとり世代はあえて目立つ行動はせず、一歩抜きん出ようとするハングリーさを持たないとも言われます。
長く続く不況の中で育ったとはいえ、その両親は多くがバブル世代。好景気が崩壊する前に大企業に就職した人も多く、両親はそれなりに家や車を手に入れています。
昭和の高度成長期とは違いまわりにモノがあふれている状態で育ったため、より物欲がなくなり、無理をしてまで出世やお金儲けをしようと思わなくなるのかもしれません。
子供たちは「α(アルファ)世代」育児はどうなる?
では、そんなゆとり・さとり世代は、どんなふうに子育てをしているのでしょうか。
父親は激しい競争を勝ち抜いて出世するために平日は帰りが遅く、休日も疲れて一緒に遊べない…という経験をした人も多いこの世代。
「わが子には同じ思いをさせたくない」と考える人も多く、残業や出張は最小限にとどめライフワークバランスを大切にする人が男女とも多いようです。
また、両親が共働きで家事育児を分担している姿を見ながら育った人も多いため「夫は仕事に打ち込み妻は家庭を支える」という、昭和的価値観の人も減りつつあります。
2010年以降に生まれた、ゆとり・さとり世代の子供たちは「α(アルファ)世代」とも呼ばれます。
2022年現在は全員が小学生以下で、完全なデジタルネイティブ(生まれた時から当たり前のようにデジタルが生活の中にある状態)、自分の意見を比較的はっきり言える、タイパ重視(動画の早送りなど効率良く情報収集を行う)といった特徴があると言われています。
また、親であるゆとり・さとり世代の特徴といわれるサステナブルな選択や環境への配慮・本当に自分に必要なものしか買わない消費行動、多様な価値観の尊重といった価値観も、アルファ世代の子供たちは受けついでいくと予想されます。
おわりに
今回は、子育て世代を中心に、いろいろな世代の特徴を紹介しました。
ただ「○○世代」という呼び名があるからといって、その世代の人がみんな同じ考え方や行動をするわけではないですよね。
その一方で、就職や結婚・出産育児など大きなライフステージの変化によって、急に離れた年代の相手と接すると、自分(たち)が当たり前と思っていた価値観がまったく通じなくて驚くこともあります。
筆者はこれまでに、夫婦の家事育児の参加や協力度について多くのアンケートや取材を行ってきましたが、まさに今回のゆとり・さとり世代(ミレニアル世代)を境目に「夫婦で分担するのが当然」という考えの人がぐっと増えるのを実感しています。
その中で育てられた子供たちは、よりフラットにパートナーが協力しながら子育てができる家庭を作っていけるのではないか…と、今から少し楽しみに思っています。
文/高谷みえこ
参考/消費者庁「若者の消費行動」2017_whitepaper_0004.pdf https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/white_paper/pdf/2017_whitepaper_0004.pdf