「気象予報士が雨に濡れていたら信用を失うので(笑)、カバンには必ず折り畳み傘を入れています」と話すくぼてんきさん。『ZIP!』(日本テレビ系)の天気コーナーに木曜・金曜担当として出演し、親しみやすいキャラクターとわかりやすい解説が人気です。洗濯や服装を考える上で欠かせない天気予報について、お話を聞きました(全3回中の1回)。

 

気象予報士のくぼてんきさん
元芸人で養成所時代に気象予報士の資格を取得したという

天気は時間や場所がズレる可能性も

── 出かける前に降水確率だけを見たとき、「洗濯物を外に干して出勤しても大丈夫?」と迷うことがあります。たとえば降水確率30%で、外出する場合はどうでしょう?

 

くぼさん:30%だと、外干しで外出するのは心配ですね。番組などでは30~40%で、「傘を持ってお出かけください」という話になります。50%以上なら「今日は降るんだな」と思ってください。

 

洗濯物を絶対に濡らしたくない場合、安心なのは0%や10%。気象予報士が自信を持って「今日は洗濯日和です」と言っていれば、基本的に大丈夫です。

 

天気予報の降水確率は、1mm以上の雨や雪が降る確率。正直0%でも降ることはあるので、「絶対に大丈夫」はなかなか言えません(笑)。

 

── 0%でも降ることがあると、「絶対」は言いにくいですね。

 

くぼさん:季節やエリア、地形によって、予想が難しいこともあります。夏は気温が上がると上昇気流で雲ができて、夕立ちが起こりやすいです。冬は上空にある寒気の影響で、北陸などを中心に天気が不安定になりやすい傾向があります。

 

天気予報では時間やエリアごとの予報を出しますが、実際の天気は時間や場所がズレることが少なくありません。風の影響で雨雲の移動が早くなったり、遅くなったりすると、時間が前後しますし、風向きの変化で、隣のエリアで予報されていた天気になることもあります。

 

ピンポイントではなく、時間の前後や周辺の予報もチェックして「こっちにズレるかも…」と考えて、準備することをおすすめしたいです。

 

あとは意外と、外に出たとき「なんか今日は嫌な予感がするぞ?」みたいのが、当たったりするんです(笑)。外れてもいいので、空を見上げて「今は晴れているけど、遠くのあの雲が流れてこっちに来るかも」などと考えながら、観察してみてください。

 

気象予報士のくぼてんきさん
青空の下「空を見て自分なりの予想もしてみて」と話す

同じ気温でも寒暖差で服装に工夫を

── 雨などに加え、服装を決めるために気温も気になります。特に季節の変わり目には、気温を見ても「今日はなにを着るのが正解?」と思うことが多いです。

 

くぼさん:気温と服装の関係は、基本的に「5℃で着るものが変わる」が目安です。

 

25℃以上ならTシャツや半袖、20℃で長袖に、15℃で羽織ものや薄手のコート、10℃以下になると厚手のコートやダウン…という感じで。

 

ただ気温だけでなく、風によっても体感温度が変わります。

 

風速1mで体感温度は1℃変化するため、気温が15℃でも北から風速5mの風が吹いたらマイナス5℃で、体感温度は10℃です。気温だけを見て服装を選んだら、かなり寒く感じると思います。

 

── 風向きや風速で足し算・引き算すれば、体感温度をふまえた服装選びができるわけですね?

 

くぼさん:妻からはよく「今週いちばん寒いのは、何曜日?」と聞かれます。

 

子どもの一週間の服装を決めるのに、いちばん寒い日を基準にして、逆算して着せるものの構成を考えるそうで、僕より天気予報の活用が上手です(笑)。

 

── そんな組み立て方、考えたこともありませんでした。奥様のアイデア、すごくいいですね!

 

くぼさん:服装を考えるとき、最高気温や最低気温も大切ですが、もうひとつ着目してほしいのは「気温の差がどれくらいあるか?」の寒暖差。

 

朝の最低気温が同じでも、寒い1日で日中もあまり気温が上がらない日は、厚手のニットなど「しっかり着込んで、おすごしください」と話します。逆に日中は暖かく、最高気温との差が大きい日には「脱ぎ着しやすい服装で、お出かけください」と言います。

 

服を選ぶ際には、1日の気温の変化や寒暖差もチェックして「今日は調整しやすい服にしよう」など、考えてもらえるといいですね。

 

気象予報士のくぼてんきさん
楽しく天気を伝えるくぼさん。カラフルな衣装で明日の天気を表すことも