スマホで撮った写真や動画を簡単に家族で共有でき、無料で使えるアプリ「家族アルバム みてね」は、一世を風靡したSNS、mixiを開発した株式会社MIXIが2015年からスタートさせました。現在も右肩上がりで成長を続け、コロナ禍もあと押しして今年の夏にはグローバルで利用者数が1500万人を突破。アプリの開発経緯や、現時点ではあえて外しているという“いいね”機能について、担当者に伺いました。
子育て世代の悩みを解決するために
──「家族アルバム みてね」(以下、「みてね」)が誕生した2015年当時はスマホが主流になってきた時期でした。開発の経緯について教えてください。
白岩さん:
当時は、子育て世代がスマホにほぼ移行していて、祖父母世代はだんだんとスマホへの切り替えが進んでいるタイミングでした。少し前はデジカメで写真を撮る方も多かったのですが、当時はほとんどの方がスマホで撮影をしていて。子どもがいると大量に写真を撮る機会が多いのですが、どれも消せない大切な思い出です。
当時、写真を家族に「共有」するときは、メールやメッセージアプリを通じて送るのが主流で、「保存や整理」はまた別で知恵を絞っている状態でした。なので、もっと便利にしたい、「保存・共有・整理」が一度でできるようなサービスを作りたいという想いがありました。
クラウド型のファイル共有サービスもありましたが、読み込みに時間がかかったり、画質が粗くなったり。そもそも祖父母世代はクラウドを使いこなせません。
とにかく、家族みんなで使うのにぴったりものがなく「何かもっといいサービスはないか」という疑問から、「みてね」の企画が生まれていきました。
── 当時、スマホで撮った写真はどのような保存方法が主流だったのでしょうか。
白岩さん:
社内で聞いてみても、クラウドに入れたままになってしまっているか、耐用年数に寿命があるハードディスクやメモリーカードに移して保存している方が、当時は多かったです。
アプリの企画段階で、ママサークルに聞き取り調査をしたり、アンケートを取ったりして、社内で挙がった課題やニーズがターゲットユーザーにもあるのかを調べました。
結果、市場のニーズも社内の認識と同じで、お子さんの写真管理を大変に思っていて、スマホの容量がすぐパンパンになって困っているという課題がより浮き彫りになりました。
── 開発で特に工夫したことはなんですか。
白岩さん:
子育て世代は特に、毎日家事に育児に忙しいですし、産後の母親の脳は「マミーブレイン」と呼ばれる状態になる方もいて、多くのことを考えられない時期でもあります。お子さんが小さい頃は夜間も頻繁におきて睡眠不足にもなります。
写真のアップロードをスムーズにできたり、機能は極力シンプルにすることで、祖父母世代にも使いやすいようにしたりすることを開発当初から大切にしています。
開発側としても実現したいことはたくさんあるのですが、それによって使い勝手が悪くなったり、複雑になったりしてしまわないように精査を重ねています。ターゲットユーザーであるパパ・ママ世代のスタッフがいることで当事者意識も高まり、よりスピーディーに実行できていると思います。
── アプリを登録した人が、家族に招待を送ればすぐに使い始められるというのも、スマホ操作への苦手意識がある祖父母世代にとってはありがたいことだと思います。
白岩さん:
祖父母世代にとっては、「みてね」が初めて使うアプリだとか、スマホに買い換えるきっかけになったというお話もいただきます。初めてのスマホや初めてのアプリであっても説明なしで使いこなせるサービスを目指しています。
今年8月に、グローバルで利用者数が1500万人を突破しました。また、国内では新規に登録した方のうち半数近くが、祖父母と一緒に利用しているというデータもあります。