2024年秋以降、新たな健康保険証となりそうなマイナ保険証。「いままでと何が違う?」「使い勝手は?」「お得になる?」など疑問に思う人も多いでしょう。家計再生コンサルタントの横山光昭さんが解説します。
大手術などの高額医療費の会計がラクになる
政府は2024年秋に従来の健康保険証を廃止し、マイナンバーカードと健康保険証を一体化した「マイナ保険証」に切り替える方針を打ち出しました。
普及が進まないマイナンバーカード。昨年10月に運用開始したマイナ保険証やマイナポイントの特典を用意しましたが、効果はあまり上がらず。
そこで健康保険証との一体化で普及促進につなげる流れになりました。マイナ保険証は、紙の保険証にはない使いやすさがあります。
ただメリットばかりではなく、デメリットも潜んでいます。その両方を認識しておくことが大切です。
まずメリットですが、いちばんは「高額療養費制度」の利用が楽になることでしょう。
高額療養費制度とは、1か月に支払った医療費の自己負担額が高額になった場合、一定の上限額を超えた分を支給し、家計負担を軽減する仕組み。
上限額は年齢や所得に応じて定められています。同制度はこれまで医療費をいったん個人が負担した後で申請し、払い戻しを受けていました。
ただ、一時的にでも高額なお金が用意できないケースに関して、事前に健保組合などから「限度額適用認定証」を入手して会計時に提示すれば、支払いは自己負担限度額のみで済みます。立て替えの必要がなくなるわけです。
マイナ保険証を利用した場合、この限度額適用認定証を申請・発行する手続きの手間がかかりません。
医療機関側で患者のマイナ保険証を通じて限度額適用認定証の情報が確認されるため、事前に申請・発行するまでもなく、自動的にその適用を受けられるのです。