親にダメ出しする先生は要注意
また、小学校受験とのつき合い方も十分に気をつけていただきたいです。
現在の小学校受験は、特に首都圏では参加者が激増して椅子取りゲームのような状況にあります。その結果、自己肯定感の否定を前提とした押しつけ型の教育スタイルが横行するようになっています。
これを言うと批判を浴びるかもしれないのですが、いまのお受験業界は、時代錯誤もはなはだしい教育モデルに退化しているというのが私の率直な印象です。
私は、そういった教育を受けた子が将来伸びていく姿を想像できません。みずから行動できる人材が求められる時代に、表面的な「できた」を作る教育をしていては、ますます世界から置いていかれます。「子どものため」と思うのであれば、そういった観点からも学校を選ぶ必要があるでしょう。
小学校受験の世界に足を踏み入れてしまうと、「周りもやっている」と視野が狭くなり、「あれもこれもやらせなきゃ」と余裕がないまま追い立てられていきがちです。そのため、小学校受験に参加する親御さんは、自分の心の点検と子どもの姿を見つめ直す努力を人一倍しなければいけません。
小学校受験の教室の先生には、そういう部分のケアをせず、親にダメ出しをすることも指導だと勘違いしている人がまだまだいます。教育学や発達心理学などを学んでいない人も多く、「我が子の受験がうまくいった」という経験則だけで先生をやっている方もいるようです。
しかし、お子さんを泣かせたり親に対してもダメ出しをしたりするような先生は、指導力の低い人。一流の先生は、お子さんの成長のためには親御さんも尊重されなければいけないことをちゃんと理解し、課題があるときも励ましながら力を伸ばしてくれるものです。
教室選びも含め、夫婦でしっかり話し合うことも大切。将来お子さんにどんな姿であってほしいか週に一度は棚卸しをし、視野が狭くならないよう注意しながら協力し合って取り組んでください。
PROFILE 小川大介さん
教育家・見守る子育て研究所(R)所長。京大法卒。30年の中学受験指導と6000回の面談で培った洞察力と的確な助言により、幼児低学年からの能力育成、子育て支援で実績を重ねる。メディア出演・著書多数。Youtubeチャンネル「見守る子育て研究所」。
取材・構成/佐藤ちひろ イラスト/まゆか!