「年末年始は1年間の支出や収入がわかる時期だからこそ、家計改善をするチャンスです」と、話すのは家計再生コンサルタントの横山光昭さん。「106万円の壁」を乗り越える方法や、ムダ遣いが減るお金のイロハをプロが解説します。
「106万円の壁」を越えても“保険料負担”しない方法がある?
貯める&増やすためのお金の整理法はシンプルです。家計を見直し「収入を上げる」「支出を管理する」「運用を始める」の3つ。
年末年始、落ち着いて時間がとれるときにこそ、3つの体制を整えるようにしましょう。
まずは収入から。今年の世帯年収を振り返ったとき、「給料は上がらなかった」という声は多く聞かれそうです。
ただ、物価高の影響で給料は変わらなくても、家計圧迫を招いた人も少なくないでしょう。
収入を上げたくても、思い通りにはいかないもの。家計相談のお客様に共通する悩みでもありますが、パートナーの扶養に入りパート勤務などをする方のなかには、「106万円の壁」を意識して働き方をセーブする人もいると思います。
健康保険や年金保険といった社会保険は、年収130万円以内であればパートナーの扶養として入れますが、条件を満たした会社に勤め年収106万円(月額8万8000円)を超えると、勤め先の社会保険に加入しなければなりません。
保険料は大ざっぱに言うと給料の約15%。これが毎月の給料から引かれることになりますから、年収が上がっても手取りは大幅に減ることも起こり得ます。これを“働き損”と捉えて敬遠し、月収を8万8000円以内に抑えようとする人が増えています。
今年10月から社会保険の加入基準が変わり、「106万円の壁」の適用範囲が拡大しました。
要件である従業員が「501人以上」の企業が「101人以上」の企業になることや、雇用期間の条件が2か月以上見込めることと短縮したため、社会保険に加入できる人が増えることとなったのです。
該当する人は、働く時間を増やせば収入アップは望めるものの、年収106万円を超えたら社会保険に加入が必要で、余力はあっても働く時間を増やせないジレンマを抱えます。悶々としがちなこの問題、じつは解決する方法があるんです。
社会保険の適用は条件を満たして働く勤務先のみなので、条件を満たさずに働けばその壁を考えなくてすみます。
2か所に勤務していても、収入の合計が年収130万円未満であれば、パートナーの扶養から外れず社会保険に加入する必要もありません。
たとえば、A社では毎月8万円を得て年収96万円、余力があるためB社でもう少し働いて毎月2万円を得て年収24万円だったとします。
合計で年収120万円なので、A社だけで働くより収入アップしながら、社会保険料負担もなしとなるわけです。
ただし、支払う社会保険料は将来の年金にもつながります。単にいまの手取りのお得さだけで判断せず、先も見据えていきましょう。