24歳でオンラインゲーム『Shadowverse(シャドウバース)』の世界大会「ワールドグランプリ2018」で優勝、当時日本のeスポーツ大会史上最高金額となる賞金100万ドル(約1億1000万円)を手にし、話題となったプロゲーマーのふぇぐさん。初めてのゲームとの出会いは小学生の頃。どんな子ども時代を過ごしていたのでしょうか(全4回中の1回)。

小学生の頃からカードゲームにどハマり

── 子どもの頃からゲームにハマっていたのですか?

 

ふぇぐさん:
そうですね。僕が最初にハマったのはカードゲームでした。公園で遊ぶ延長みたいな感じで、自転車で20分くらいかけてカードショップに行っていました。「この後、カードショップで集合な! 」みたい感じで(笑)。

 

プロゲーマー・ふぇぐさん
真剣なまなざしでプレイするふぇぐさん

── 家庭用ゲーム機は持っていましたか?

 

ふぇぐさん:
僕は一人っ子だったこともあってか、自分用のゲーム機はひととおり買ってもらえて。最初に買ってもらったのが『ニンテンドー ゲームキューブ』。その後が『ニンテンドーDS』で次が『Nintendo Switch』。『ポケットモンスター』シリーズではよく遊びましたね。

 

でも当時は、自分がめちゃくちゃゲームがしたかったというより、持っていないと学校の友達と遊べないから持っていた感じでした。カードゲームのほうがハマっていたと思います。

 

── カードバトルの場合は、持ち札の特徴などを覚える必要がありますよね。子どもの頃から記憶力が良かったのでしょうか。

 

ふぇぐさん:
僕はバリバリの文系なのですが(笑)、単純な数字の計算は好きでしたね。数学は苦手なんですけれど、算数は得意でした。そういえば、『シャドバ(シャドウバースの略、以下同)』のプレイヤーは理系の人が多いかもしれません。

 

『シャドバ』に関しては、始めてもうすぐ6年目なので、僕は累計1万時間くらいプレイしていると思います。

 

よしもとゲーミングのロゴが入った特注ヘッドフォン
よしもとゲーミングのロゴが入った特注ヘッドフォンも

── 1万時間、ですか!?

 

ふぇぐさん:
はい、毎日5時間超えです。それぐらいのレベルでずっとプレイしています。うまく言語化できないのですが、『シャドバ』のようなオンラインカードゲームは、上手くなるためには最初にしっかり時間を費やして何度もプレイすることがすごく大事なんです。

 

僕の場合は、子どもの頃からずっとカードゲームをやっていたので、入口はすんなり入れたけれど。

 

どのゲームにも言えることですが、上手くなるにはそのゲームに慣れる時間が欠かせません。FPS(自分が主人公としてプレイするシューティングゲーム)だったら銃を相手に当てる感覚や、『スプラトゥーン』もコツをつかむまでが大事。

 

スポーツと似ていて、たとえばサッカーも最初はボールを蹴ったりする“地味な基礎練習”が必要ですよね。でもそれを乗り越えたら、めちゃくちゃ楽しくなると思うんです。

ゲームもテニスも自由にやらせてくれた両親

── 確かにやればやるほど上手くなりますよね。でも、ゲーム時間は何時間までにすれば良いのかと悩んでいる人も多そうです。ふぇぐさんの場合、子どもの頃はどのようなルールで遊んでいましたか?

 

ふぇぐさん:
うちは、基本的にゲームは自由にやらせてもらっていました。小学生だったけれど、カードショップに行って19時くらいまで店の人に話を聞いたり…。あまりに勉強をしなかったときには、“いつまで遊んでいるんだ”と小言を言われたこともあったけど(笑)。

 

僕は中学受験のために小4から塾に通っていて、それなりに勉強も両立していたつもりです。小6のときにカードゲームの大会があったのですが、その後はきっぱりとゲームはやめて中学受験に専念しました。

 

プロゲーマー・ふぇぐさん
鮮やかなよしもとゲーミングのウェアがお似合いのふぇぐさん

── なかには「ゲーム禁止」というルールを貫いている家庭もあると思いますが、ふぇぐさんのご両親がゲームに理解があったのはなぜだと思いますか?

 

ふぇぐさん:
両親はいつも、自主性に任せてくれていたんです。カードゲーム以外にもいろんな習い事をさせてくれたし。テニスも9年くらい習っていました。テニスとカードゲームが好きだったので、その2つに熱中していましたね。でも親からは「中学受験はしっかりやってほしい」と言われていたので、勉強も一生懸命やりました。

 

── 親世代からすると、ゲームをしていると勉強が手につかなくなってしまう心配があると思いますが…。

 

ふぇぐさん:
僕がプロとして活躍している『シャドバ』は暗記の能力も必要なので、大学に行きながら活躍している現役の東大生のプロゲーマーが2人いるんです。

 

もしかしたらプロゲーマーって、記憶力がものすごく優れている頭脳派か、勉強そっちのけでゲームばかりしていたタイプか、どちらかなのかも…?両極端ですが(笑)。でも世間のイメージほど、ゲームだけしかやってきていない人は少ないと思います。

 

PROFILE ふぇぐさん

1994年生まれ。よしもとゲーミング所属のプロゲーマー。2018年『シャドウバース』世界大会で優勝。今後の活躍が期待されているプロゲーマーの一人。著書に『億稼ぐプロゲーマーになる方法』(KADOKAWA)がある。

 

取材・文/池守りぜね 撮影/二瓶 彩