ミッションを達成し誇らしげな娘
今回の騒動を受け、大人たちは非常に肝の冷える思いをしたわけですが、当の娘さんは怖かったという感情はさらさらないようで、発見当時も達成感に満ちた様子だったそう。
「娘からすると、パパに嘘をついてひとりで保育園まで行くというミッションを無事達成したわけで、むしろ誇らしさのほうが優っていたのだと思います。
まだひとりで出かけたら事故や事件に巻き込まれてしまう危険があるということまで想像できる年齢ではないですし、どうしても目の前の楽しいことに夢中になってしまう。親が目を離さないことが何より重要だと痛感しました」
この漫画を読んだフォロワーさんからのコメントでも、「私も娘さんと同じ歳くらいの頃に、ひとりで家を飛び出したことがあります」「当時の自分が蘇る!」「娘さんの気持ちがわかる〜」といった、娘さんの行動に共感する声が多かったそう。
「心配してくださるコメントももちろんあったのですが、それよりも自分自身の思い出を語ってくださった方が多かったのが意外でした。4歳前後の子どもがひとりで家を飛び出してしまうのは、実は“あるあるな出来事”なんだということに驚きました。
特に印象的だったのは、小さな頃迷子になりたいという願望があったフォロワーさんが、『母の目を盗んで無事迷子になり交番に辿り着いた。当時母が泣きながら迎えにきたけれど、大人になった今お母さんごめんなさいと思う』というもの。
この方のように、きっとうちの娘も、ひとりで出かける怖さを本当の意味で理解して反省するのは、ずっと先、自分が大人になったときなのだろうと思います」
大事なのは親子の意識を変えること
子どもにとって、ひとりで出かけることは冒険のようにワクワクするもので、悪いことだという意識を持つのは難しいのかもしれません。この騒動を受け、今後の対策をご夫婦で話し合ったというぽんかんさん。
「まず物理的に娘がひとりで勝手に出かけられないよう、踏み台にのっても手の届かない位置にチェーンロックをかけるようにしました。
しかし、子どもの意識を変えることのほうが重要だと思ったので、ひとりで出かけるとどういう危険があるかということを、できるだけわかりやすく説明しました。伝えた後は『わかった』と言ってはいましたけれど…、本当にわかっているのかな(笑)。
その後、娘とデザインを一緒に考え、「ひとりで出ちゃだめ」と書かれたポスターを娘自身に作成してもらいました。
最初私は壁に貼ろうとしたのですが、娘が自ら『毎日見るところがいい』と玄関のドアに貼ることを提案してきて、今は玄関にそのポスターを貼っています」
今回の一件で、4歳児に対する見方が変わったというぽんかんさん。親が思っている以上に好奇心や自立心が育ち、知恵もついてきて、大人の想像を超える行動に出ることがあるのが、4歳という年齢なのだろうと語ってくれました。
取り返しのつかない事故を防ぐためにも、「4歳だからもう大丈夫」と油断せず、子どもから目を離さないことが大切ですね。
PROFILE 松本ぽんかんさん
会社員の夫と4歳の娘さんとの3人暮らし。出産後ジョブチェンジをはかり、漫画家・イラストレーターに転身。Twitterやブログでも自身のつわりや育児体験漫画を投稿し、注目を集めている。WEBメディアで連載を持つなど精力的に活動中。
取材・文/上野真依 イラスト提供/松本ぽんかん